息子が働かない中国人夫婦のささやかな優越感

 政治面でも経済面でも存在感を増している中国。だが、その発展を支える個人の生活に目が向けられることは少ない。本連載では、2001年に中国で起業し、長年にわたって現地のコミュニティに溶け込んできた宮田将士氏が、「等身大の中国人」の心の内を描いていく。(JBpress)

息子が働かない!

 今年48歳になる張さんは、とあるオフィスビルで清掃のアルバイトをしている。以前は故郷の近くの工場の組立ラインで仕事をしていたが、その工場が倒産してしまったので、工場で知り合い結婚したご主人と上海にやってきた。ご主人はマンションの守衛の仕事で、張さん自身はオフィスビルの清掃のアルバイトで一生懸命働いている。

 張さんは18歳のときに結婚したので、息子さんはすでに27歳。張さんは、なんともう、おばあちゃんである。中国では、50歳にもなれば定年退職をして、年金や子供からの援助で、孫の面倒をみながらのんびり暮らすという人も多い。だが、張さん夫婦には、当分そのようなのんびりした暮らしはやってきそうもない。

 息子さんは、張さんにとってたった1人の子供。だから可愛いくて仕方がない。そのせいか、とても甘やかされて育った。

 そんなたっぷりの愛情が裏目に出たのか、この息子さん、定職についたことがない。お父さんのツテをたどってタクシーの運転手、いま流行りの出前サービスの配達員、ネットショップの店長など、いろいろやってみたが結局長続きはせず、家にいる。孫はまだ小さいので、息子さんの奥さんは子育てにかかりっきりで、仕事に出るのは今は難しい。

 なので、張さんと張さんのご主人が、息子さん夫婦と孫を養うことになる。

 仕事熱心で上司や老板(社長)からの評価も高い張さん。毎日身を粉にして働くご主人の奮闘もあり、収入は決して低くはない。だが、物価がぐんぐん上がる上海で、夫婦、息子夫婦、孫を養っていくのも、決して楽ではない。夫婦2人とも50近くにもなれば、なかなか転職というわけにもいかず、仮に新しい仕事が見つかったとしても、給料が今より高くなる保証はない。


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