カシミールの自治権剥奪、インドが強める排外主義

(舛添 要一:国際政治学者)

 カシミール地方を巡って、インドとパキスタンの対立が激化している。

 今年2月にカシミールのインド支配地域でインド治安部隊がテロ攻撃を受け、その報復として、インド空軍機が越境してパキスタンを攻撃するなど、軍事的対立が続いている。

ヒンズー教徒の「入植」に対する危惧も

 イギリスの植民地であったインドは、第二次大戦後にパキスタンとインドに分かれて独立を果たすが、カシミール地方については、両者、それに中国も加わって領有権を争っている。カシミールは、インド支配地域、パキスタン支配地域、中国支配地域に三分割されており、しかも三国とも核武装をしている。

 第二次大戦後に、インドとパキスタンは三度戦火を交えているが、そのうち二度はカシミールをめぐる紛争である。

 カシミールの住民の多数はイスラム教徒であり、インドは支配地域のジャム・カシミール州に自治権を与えてきた。独立当時、この地を支配するマハラジャ(藩王)はヒンズー教徒であり、最終的にインド帰属に決まったのである。

 このような事情があるため、インドは憲法370条でこの地に自治権を付与したのであるが、8月5日、インド政府はこの自治権を剥奪する措置に出た。


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