(北村 淳:軍事社会学者)

 インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が、同国を訪問した茂木外務大臣に対して、ナトゥナ諸島への投資を拡大してくれるように要請したことをインドネシア外務当局が明らかにした。

中国がナトゥナ諸島北方海域に侵出

 ナトゥナ諸島は南シナ海の最南部に位置し、それ自体を巡っての領土紛争は存在しない。しかしナトゥナ諸島北方海域の排他的経済水域(EEZ)の線引きに関してはインドネシア、マレーシア、そして中国の間で対立が継続中である。

 とりわけ強力な海洋軍事力を手にしている中国は、インドネシアを含む南シナ海周辺諸国との海洋領域紛争で軍事的威圧を露骨に強めている。

 中国は、ナトゥナ諸島の領有権を主張していないものの、ナトゥナ諸島北方のインドネシアEEZ内の一部海域については「九段線」内海域であるとして、漁船群や公船を展開させて軍事的威嚇を強化している(「九段線」は、中国が制定した「中国の主権的海域の境界線」)。

 昨年(2019年)12月中旬から、ナトゥナ諸島北部のインドネシアEEZ内海域、そして中国当局によると「九段線」内海域で多数の中国漁船団が“操業”を開始した。インドネシア政府は「中国漁船の操業はインドネシアの主権を侵害している」として中国政府に抗議した。だが、中国当局は中国の主権的海域での通常の漁業活動であるとして全く取り合おうとしていない。