(福島 香織:ジャーナリスト)

 1月11日の台湾総統選挙の投票結果は、前回のコラム(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58901)で予想したとおり、現職・蔡英文総統が過去最高の得票数817万票を獲得しての圧勝に終わった。立法院議席も113議席中61議席の過半数を民進党がとり、とりあえず民進党にとっては大満足の結果であったことだろう。

蔡英文の評判は決して良くなかった

 私は台北の蔡英文候補事務所前に設置された集会場の現場に赴き、民進党支持者の中で選挙の結果を知った。当選が確定した直後、周囲の人たちにこんな質問をした。

「蔡英文政権2期目に期待することは?」「中国からの軍事的圧力が心配ではないか?」「中国からの圧力で経済が今よりももっと悪くなると心配ではないか?」

 ある初老の民進党支持者男性は「司法改革をやり遂げてほしい。今の台湾の司法は公平ではないから。国民党が得するような法律ばかりだ」「経済は世界中が悪いから、台湾の経済がさらに悪くなるのは、もう仕方ない」などと答えた。中国の軍事的圧力については、「やれるもんならやってみろ!」

 また別の中年男性は「経済が良くなるとは思えない。副総統の頼清徳が4年後の総統選に出馬して勝つだろう。その時に期待している」「台湾人は軍事的脅しに屈しないし、経済が大変なのも耐え抜ける」・・・。

 私は1月9日から台北に入り、人に会うたびに、誰に投票するか、蔡英文政権をどう評価するか、再選したら何を期待するかを聞いて回ったが、蔡英文政権の評判はかなり悪かった。下町のレストランや屋台で働く人、タクシー運転手、ホテルの従業員など数十人にとりあえず聞いてみた。

 台湾人の友人が、こう説明する。「蔡英文は評判悪いよ。私も4年前は蔡英文に入れたけど、今は嫌い」。

 蔡英文が嫌い、という理由は様々だが、やはり尖ったリベラル政策、たとえばアジア初の同性愛結婚法の導入や、「一例一休」と呼ばれる“働き方改革”が台湾社会の実情を無視したものだったこと、体感として経済がはっきりと悪化し、物価が値上がりして暮らしにくくなったことなどが挙げられた。