(PanAsiaNews:大塚 智彦)

 19歳の若い絵描きの卵である女性が深夜にタイの首都バンコクにある自室で縊死した。コロナウイルスの影響などで収入が途絶え、生後8カ月の赤ちゃんに飲ませるミルクを買うお金にすら困る生活に疲れ果てて絶望した末の「死の選択」だった。

 死を選ぶ前に彼女は、SNSを通じて1枚の写真を公開していた。そこにはタイのプラユット首相によく似た人物の似顔絵と「食べ物は毒入り、道端は墓場、狂人がハンドルを握るおかしな世の中に直面している」などと政府批判とみられる書きこみがあり、アップされたこの絵と文章は彼女が現世に残した最後の絵と文、つまり「遺書」となった。

 この若き女性絵描きの死がマスコミを通じて報じられると、タイ国内から同情する声が数多く寄せられた。

 というのも、コロナ感染防止のためにタイ政府がとっている夜間外出禁止令や一般営業自粛、非常事態宣言などによって、彼女以外にも多くの貧困層が生活苦に追い込まれており、やはり彼女と同じように自殺する人も増加、社会問題になっているからだ。つまり、他人事としてすまされない人々が大勢いたのだ。

「これから死ぬ」と電話で告げて・・・

 この女性、プライフォン・アムサリカさん(19)が倒れているのが発見されたのは、4月28日午前1時55分ごろのこと。タイ・バンコクのバンケー区ソイ・ペットカセムにあるアパートの1室だった。発見されたときには、ドアの内側に紐をかけて首を吊った状態だった。医師と警察官が直ちに現場に駆けつけたが、医師によりプライフォンさんは窒息死とされ、自殺と判断した。

 というのも第1発見者であるプライフォンさんの新しい夫(一部報道では恋人)が部屋に駆けつける直前にプライフォンさんから電話があり、「これから死ぬ」と言い残していたからだった。現場の状況からも、自殺を否定するような要素は何もなかった。