(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 日本で新型コロナウイルスの感染者が最初に確認されてから110日──異様な事態が日常となり、私たちが現実を直視する視線もゆがみがち、曇りがちとなってきた。

 なかでも不思議なのが、連日連夜のコロナ論議で、この国難が一体なぜ起きたのかがほとんど論じられないことだ。この大感染が今後の日本を、そして世界をどう変えていくのかも語られない。新型ウイルス発生源の中国と今後どう接していくのかも論じられない。

 この世界でこんな大異変が起きうるのか、現実なのか、悪夢ではないのか──新型コロナウイルスが全世界で引き起こす大惨状をみて、信じられない思いに襲われるのは私だけではないだろう。

 だが、これは悪夢よりもひどい現実なのである。凶悪な巨大モンスターのような新型コロナウイルスは5月上旬のこの時点でも全世界で356万人を超す感染者、24万以上の死者を出している。感染の被害を受けた国や地域は計212とされる。

 日本も米国も、その他の主要諸国も、社会と経済がなかば麻痺してしまった。国家も国民もウイルスの大襲来に深く傷つき、倒れかねない危機となった。一部の国では感染のピークを越えたともされるが、なお全世界が邪悪なウイルスに大打撃を受け、壊滅的な状態である観は否めない。