第1に、中国は日本固有の領土の尖閣諸島を武力を使ってでも奪取するという言動を続けている。第2に、中国国内での年来の反日教育を変えていない。第3に、日本のミサイル防衛など安全保障強化の政策にはすべて反対する。第4に、日本の首相など公人が自国の戦没者慰霊のために靖国神社に参拝することに干渉する。第5に、日本人の研究者やビジネスマンを一方的に拘束し、その理由も開示しない。

 残念ながら「先人の努力」がもたらした現在の日中関係はこんな無惨な状態なのである。

「フランケンシュタイン」を生み出した資金援助

 日本側の対中関係に関する「先人の努力」といえば、中国の経済発展へのさまざまな支援であろう。中でも最大のプロジェクトは、日本から中国へのODA(政府開発援助)供与だった。総額3兆数千億円、事実上のODAに等しい公的援助の開発資金を加えれば、日本は中国に総額6兆円以上の経済援助を与えてきた。二階氏はこの対中ODAの熱心な主要推進役だった。

 だがこの対中援助は、米国のポンペオ国務長官が「フランケンシュタイン」と呼ぶ怪物のような大国を生み出すことに貢献してしまった。日本は結果的に、自国を脅かす異形の大国の育成に巨額の公的資金を供与してきたのだ。

 日本のODAは、その目標だった「日中友好」「中国の民主化」、そして「中国の軍拡に寄与しない」という基本方針にすべて違反してしまったのである(私は中国での取材体験を基盤にこの日本のODA外交の失態を『ODA幻想 対中国政策の大失態』(海竜社)という書籍にまとめた。本コラムとあわせてお読みいただきたい)。

二階氏が訪中するタイミング

「先人の努力」という点では、確かに二階氏自身の努力は目覚ましかった。2000年5月、運輸相(当時)の二階氏は約5000人もの訪中団を率いて北京にやって来た。旅行業界や観光業界を動員した訪中だった。人民大会堂での式典では江沢民、胡錦濤の正副国家主席が登場して歓迎した。明らかに中国側の主導による友好行事だった。