歴史を振り返れば、スエズ運河を手に入れたことで英国が覇権国家となり、パナマ運河で米国が英国に代わって覇権国家に躍り出た。

 この顰に倣うかのように、中国はパナマ運河を凌駕するニカラグア運河の開発を進めており、またマラッカ海峡のくびき(マラッカ・ジレンマ)を回避するクラ地峡の掘削を計画している。

 これまでの中国の経済成長からは新運河や地峡開掘は可能とみられてきたが、コロナ蔓延で経済発展が阻害され、計画断念も含めた異変をきたしているともみられる。

 ただ全体主義国家の地力は困難時に発揮されることを考えると、油断は禁物である。

 万一、中国が運河と地峡の一つでも開発に成功した暁には、覇権国家の転移も現実味を帯びてくる。

 しかし、日本にとって異なった価値観は悪夢の到来でしかない。自由民主主義の価値観を全体主義の価値観に譲ってはならない。

 中国の覇権を認めるにしても、価値観の接近を認め、後戻りできない状態を確認した結果でなければならない。

 その時点までは、日本はファイブ・アイズの一員となって中国の価値観転換の一翼を担うべきではないだろうか。

宇宙作戦やサイバー防衛に不可欠な情報

 日本は北朝鮮の核搭載可能な弾道ミサイルの推進と中国の多数の中距離核弾道ミサイルの配備に脅威を感じながらも拱手傍観せざるを得ない状況にあった。

 ざっくり言って核対処ばかりでなく攻撃兵器は米国任せでしかなかったので、有事に機能するのかという懐疑を同盟国に持つこともあった。

 その時点で、すでに同盟の価値は半分消滅したも同然であるが、日本の「国防」意思が統一できない以上は、いかんともしがたかった。

 しかし、予算の著しい制約を受けながらも、遅ればせながら弾道ミサイル対処とそれらの運用にかかわる情報・通信対処が不可欠と認識するに至り、多次元対処防衛に踏み込むことになった。

 すなわち、戦争域が地球表面の陸海空のみでなく宇宙空間まで広がり、同時に戦力保持がサイバー・セキュリティに依存している現実を認識するに至り、宇宙作戦隊やサイバー防衛隊などを創設した。

 しかし、日本に不足するのは情報である。