(PanAsiaNews:大塚 智彦)

 大学生ら若者を中心としたタイの反政府集会とデモが、9月19日午後から20日昼まで夜を徹して行われた。会場となった首都バンコク中心部の王宮に近い国立タマサート大学タプラチャーン・キャンパスや隣接するバンコク都所有のサナムルアン(王宮前広場)に約5万人もの若者が集結した。

 今回の集会・デモの規模は、2014年のクーデター以来のものだ。そのため当局は警戒を強めていたのだが、周辺を警戒する警察部隊などとの大きな衝突や混乱も生じず、20日昼頃にはデモ主催者側代表の一人が警察長官宛の要求書を警察側に手渡して終了を宣言、解散となった。

 集会では、「民主化要求」とともに、タイでタブーとされる王政批判につながる「王室改革」についても堂々と提案・論議されたのだが、これも特に混乱を引き起こすような事態には発展することはなかった。

 デモを組織した全国学生連盟や自由青年グループ、タマサート大・民主化統一戦線などは、「今回の反政府デモはとりあえず成功」と評価した上で、9月24日にバンコク市内の国会周辺で再度反政府集会とデモの開催を予定するとともに、10月14日にはゼネストを呼びかける方針を明らかにし、今後さらに反政府運動を強化、継続してプラユット政権を追い込んでいく方針を確認した。

 学生らデモ側と警備に当たる警察側が、ともに混乱や不測の事態を避ける努力をした結果、事前に情報が流れていた「クーデター」や「武力鎮圧」などの最悪の事態はとりあえずは避けられたと言えるが、反政府デモの勢いは再び24日に向けて高まることは確実で、プラユット政権は今後も難しい舵取りが求められることになる。

警察長官宛の要求書を渡して解散

 地元有力英字紙「バンコク・ポスト」のネット版や現地から生中継の映像を流し続けた「Voice TV」などによると、19日午後から始まった反政府集会は折からの悪天候の中、傘や雨合羽姿の若者に加えて、雨に濡れるのも厭わぬ一般市民など約5万人が集まった。

 会場とされていたタマサート大学タプラチャーン・キャンパスの敷地が手狭になったため、参加者は隣接する都有地の「サナムルアン」(王宮前広場)にバリケートを押しのけて移動したのだが、この際、警戒にあたる警察官と押し合いにはなった。この時、双方に緊張感が高まりはしたが、結局、警察側は群衆を無理に制止しようとはせず、最終的には自主的に引き下がり混乱は回避された。