そうした中で重視されているのが宇宙の解明で、日米欧などの約50か国の物理学者が国際協力で建設を目指しているのがILCである。

 ILCは宇宙誕生の謎に迫る次世代型加速器で、立地評価会議(研究者で組織)は2013年8月、北上山地(岩手・宮城県)を候補地に決め、2025年の完成を目指して議論を進めてきた。

 しかし、誘致した場合の莫大な費用負担を強いられるなどから、当面は欧米の出方を見守る状況にあった。

 宇宙の謎を解く大型施設にはニュートリノを捉える「ハイパーカミオカンデ」(地下約70m、直径約70mの水槽で建設費約675億円)や、重力波観測の「かぐら」(地下約200m、一辺3kmのL字型で建設費約164億円)などがある。

 一方、ILCは規模(地下約100m、全長約30km)、経費(平成25年試算で建設費約8300億円、年間運営費約360億円)とも格段に大きい。

 関係国からは日本政府の誘致表明を望む声が高まっているとされるが、日本学術会議(以下、学術会議)は今年初め、「重点大型研究計画」に指定することを見送った。

(参照:「国益を損なう国際リニアコライダー選定見送り 日本の安全保障には両用技術の活用や国際機構の存在必要」:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59309)

文科大臣の裁定待ち

 コロナが教えた最大の教訓は国家の信頼性であり、また医療用品や器具などのサプライチェーンの重要性であった。

 ILCには多数の国家と研究者が関係し、その中心に誘致国が位置する。

 コロナ問題に擬すならば国家の信頼性を高め、サプライチェーン(あるいはハブ)となる千載一遇の機会である。

 北上山地が候補地になってからすでに7年が過ぎ、当初の完成予定まで4年余しかない。

 しかも、今年初めには学術会議が「重点大型研究計画」から外し、文部科学大臣の「決定」に関心が持たれてきた。