インドネシア海軍は11月23日、南シナ海南端に位置するインドネシア領ナトゥナ諸島の海軍基地に新たに海軍即応戦闘分隊の司令部を移駐させる方針を明らかにした。これは南シナ海での中国による一方的な権益拡大、既得権主張に対抗するための極めて強い姿勢を内外に示すものとして注目されている。

 中国は、南シナ海に一方的に自国の権益が及ぶ範囲として「九段線」を設定して、南沙諸島や西沙諸島の島々の領有権を巡ってマレーシア、ブルネイ、ベトナム、フィリピン、台湾などと争っている。

 インドネシアは直接的な領土問題を中国との間で抱えている訳ではないが、中国はナトゥナ諸島の北方海域にあるインドネシアの排他的経済水域(EEZ)と中国の「九段線」が一部で重複していると主張している。

 このためナトゥナ諸島北方海域のインドネシアEEZ内に侵入して不法操業を続ける中国の漁船とインドネシアの海上保安当局や海軍の艦艇との間で摩擦が生じる機会が近年増加している。

 あろうことか中国は、2020年に入ってからは、中国漁船に中国海警局の武装船舶が漁船に同行して警戒監視するなど対決姿勢を強めている。

南シナ海問題では日米と連携強化

 10月にベトナムに続いてインドネシアを就任後初の外遊先として訪問した菅義偉首相は、両国首脳とコロナ対策での協力と同時に地域の安全保障問題でも意見を交換し、日本側は「日米豪印」による「自由で開かれたインド太平洋」構想を中心に連携を求め、ベトナム、インドネシアはより切実な「南シナ海」の問題を主軸に共同歩調をとることなどで意見が一致したという。

 その直後にインドネシア、ベトナムを訪れたマイク・ポンペオ米国務長官とも両国首脳は安全保障問題を協議して「南シナ海での中国による一方的な権益主張」への対応方針などを確認した。

 こうした日米の南シナ海などを巡る地域安保への積極的関与は米トランプ政権による一連の「対中強硬策」の一環ととらえられており、トランプ大統領の共和党政権からバイデン前副大統領の民主党政権への移行が確実となる中、その対中スタンスを再確認する意味合いが日米とインドネシア、ベトナムの双方にあったものとみられている。