中国は日本からの渡航者に対し二重の陰性証明(登場前2日以内のPCR検査陰性証明と血清特異性IgM抗体検査)を求めているが、日本は中国からの渡航者に対する検査は求めていない。これは、日本政府が「中国はほぼ完全にウイルスを制圧できている」と信じ切って安心しているからだろうが、本当に安心しきっていいのか?

 上海の浦東国際空港周辺で発生している感染者数も公式発表通りでない可能性があると疑うべきだろう。11月22日に空港の職員1万6000人にPCR検査を一斉実施し大混乱になった様子の写真などがメディアで取り上げられていたが、なぜこんなに慌てて措置をとるかというと、上海当局者自身が慌てているからだ。おそらく現状を把握できておらず、ひょっとすると上海市中感染も疑っているからこその慌てぶりではないか。

 中国はこうした感染再発生の理由をこれまでは「海外から持ち込まれた」と説明してきたが、上海の感染はそういう説明ができなくなってきた。そこで、感染者が冷凍物流チェーン周辺に集中していたり、大連、天津、青島などの輸入冷凍食品の包装から新型コロナが検出されたことなどを根拠に、「海外からの輸入冷凍品から人が感染した」可能性を主張し始めている。冷凍食品輸出国のドイツやニュージーランドはこの見方を否定している。

 もし、本当に「モノ→人」感染の可能性があるとしたら、それこそ予防対策のあり方の根本的な見直しが必要な事態である。この中国の主張は無視してはいけないが、鵜呑みにしてもいけないだろう。

 独立系華字ニュースサイト「明鏡」が掲載した「中国最新版新型コロナ神話」という記事によると、中国共産党は新型コロナの起源が中国以外の外国であるという印象を国内外に喧伝しようとしているという。そして、その最新の世論誘導策が、海外から輸入した冷凍品によって武漢に持ち込まれたウイルスが新型コロナウイルス感染症を発生させたというストーリーの定着を図るということらしい。

 いずれにしても、中国の公表する情報をそのまま受け止めて政策決定の基準にしてはならない、ということだ。

 2021年の春節(2月12日)は、中国で「民族大移動」が解禁されるのかどうか。中国としては大々的に春節旅行を推進して、「ポストコロナ」をアピールするかもしれない。世界のなかで比較的感染規模の小さい日本の観光地は、中国人観光客の来訪を心待ちにしているかもしれないが、ここで誤った対応をすると、東京五輪が吹っ飛ぶくらいの後悔では済まないかもしれない。

(福島 香織)