将棋界の記録を次々と塗り替えているスーパースター、藤井聡太二冠。幼少期までさかのぼり、その強さの秘密に迫った本が出た。『藤井聡太のいる時代』(朝日新聞出版)だ。

「神童」の実像

本人、家族のみならず、周辺棋士にも丹念に取材している。生い立ちから驚異の公式戦29連勝、タイトル獲得までの道のりをさまざまなエピソードを交えながら丁寧に追っている。今の10代の中ではおそらく最高ランクの「神童」、将棋の歴史を変えた少年の実像を知るための決定版だ。

執筆は朝日新聞将棋取材班。どのような環境で生まれ育ち、将棋と出合い、強くなっていったのか。大先輩としのぎを削った二冠獲得の舞台裏なども明かす。

貴重な写真もカラー口絵で多数掲載。全体は以下の構成となっている。

【第一章】 成長編――誕生、将棋との出合い
【第二章】 修業編――史上最年少棋士の誕生
【第三章】 飛躍編――驚異の29連勝の舞台裏
【第四章】 挑戦編――「雲の上」の存在との戦い
【第六章】 鮮烈編――師弟の絆
【第七章】 鍛錬編――しのぎを削る棋士たち
【最終章】 特別編――二冠獲得の熱狂

超高性能パソコンを自作

ちょうど西日本新聞は11月29日、「藤井二冠の『モンスター級』自作PC、何がどれだけすごいのか」というニュースを報じた。藤井二冠は自作パソコンで将棋を研究しているが、その性能がとてつもないというのだ。CPU(中央演算処理装置)にAMDの『Ryzen Threadripper(ライゼン・スレッドリッパー)3990X(以下3990X)』を使っている。メモリーは何と256ギガ。

専門学校コンピュータ教育学院(福岡市)の伴昭彦さんが解説している。3990Xはコア・スレッド数とも家庭用パソコンとは比較にならない。インテル社のCorei7の10倍程度だという。メモリーは、一般的なノートパソコンに搭載されているものは8〜16ギガなので、こちらも比較にならない。

記事の中で、伴さんは「ものすごい性能だといえます。3990Xを搭載したパソコンはAI(人工知能)研究を行ったり高度の映像処理技術が求められたりと、使う人が限られています。私の周りで使っている人を見たことがありません」と驚嘆している。

『藤井聡太のいる時代』には「中高一貫校への受験を決めた理由」「睡眠時間、勉強法まで」なども掲載されている。将棋のみならず、自作パソコンのスペックでも同世代のトップを走るスーパー頭脳の一端を知ることができるかもしれない。

そのほか、「6歳、夢は名人」「鉄道好き、公式戦帰りに各駅停車の旅」「匿名でネット対局、中1でプロ並みの点に」「大人びた読書で培った言語感覚」などの話も紹介されている。

価格は1300円+税。