北極圏の人々と暮らし、そりを引いてきた犬の祖先は少なくとも1万年近く前のシベリアの犬にさかのぼると、デンマークのコペンハーゲン大などの国際研究チームが29日までに米科学誌サイエンスに発表した。そり犬の中ではグリーンランドの犬がシベリアンハスキーやアラスカンマラミュートよりも遺伝的に古いという。

 1万年前は最終氷期が終わった時期。北極圏に進出した人々は、まだ寒冷な時代に犬ぞりで長距離を移動し、生活に必要な物資を運ぶ生活を確立していたことが、遺跡調査で明らかになっている。

 研究チームは約3万3000年前のシベリアのオオカミや、東シベリア海にあるジョホフ島で発掘された約9500年前の犬の下顎骨からDNAを抽出し、全遺伝情報(ゲノム)を解読。そり犬をはじめ、世界各地のさまざま犬種と比較した。

 その結果、グリーンランドのそり犬がジョホフ島の犬と最も遺伝的に近く、古いことが分かった。そり犬とともにグリーンランドに進出した集団が北米のオオカミや他の犬種と交雑しないようにしたため、祖先の体質が残りやすかったと考えられる。

 ゲノムの比較解析では、そり犬は呼吸や筋肉に関する遺伝子が他の犬種と違うほか、人々がアザラシやセイウチなどを捕らえて食べていたのを反映し、脂肪の多い餌に適応していることも分かった。