【ニューヨーク時事】開催4カ月前に延期が決まった東京大会。五輪に大きな影響力を持つ米国での新型コロナウイルス感染拡大は、通常開催を目指していた国際オリンピック委員会(IOC)の立場を揺るがす一因となった。

 2013〜16年にはIOCの収入の7割超を占めるなど、テレビ局が支払う巨額の放映権料は、五輪と切り離せない関係にある。放映権料の約半分を担う米NBCテレビは14年に、22年から32年までの冬季・夏季計6大会の権利を総額77億ドル(約8500億円)で取得。東京大会では米国で視聴率が高い夜のプライムタイムに合わせ、競泳の決勝が午前中に設定されるなど、スケジュールにもNBCの要望が反映された。

 新型コロナの不安がささやかれ始めた3月初旬の時点で、NBCを傘下に置くコムキャスト社のロバーツ最高経営責任者(CEO)は「開催に向けて前進しているようだ」と楽観的だった。ところが、感染拡大に伴い、大リーグの開幕延期など、各スポーツが次々に中止やシーズン中断を発表。IOCの姿勢に批判の声が高まり、トランプ米大統領が「1年間延期した方がいいかもしれない」と言及すると、にわかに雲行きが怪しくなった。

 3月下旬には、多数のメダリストを輩出してきた米国の水泳、陸上の各競技団体が延期を要求。日本への聖火到着を、米メディアは新型コロナ関連のニュースの中で批判的に報じた。NBCは五輪の延期検討を「IOCの決定を完全に支持する」と表明。中断した米プロバスケットボール協会(NBA)や北米アイスホッケーリーグ(NHL)のシーズン終了がずれ込む可能性が高まり、テレビ局にとっては夏場に五輪以外のコンテンツが増える目算が立ったことも「延期やむなし」のムードを強めた。

 最後まで巨額の放映権料に翻弄(ほんろう)されたIOCと東京五輪。ある面ではIOC以上の影響力を持つといわれるNBCの思惑が、新たな開催スケジュールなど、今後も大会の行方を左右することは間違いない。