【モスクワ時事】ロシアの憲法改正のための全国投票は期日前投票が進み7月1日に本投票が行われる。改憲法案にはプーチン大統領の長期続投を可能にする条文のほか、「領土割譲禁止」といった内容も盛り込まれている。改憲成立なら日ロの北方領土交渉は一層困難になりそうだ。

 改憲法案には「隣国との国境画定を除き、領土割譲に向けた行為や呼び掛けを容認せず」と明記された。政権はこの条文で、何よりも2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島の返還に応じない立場を強調したい考えとみられる。

 一方で「隣国との国境画定」が禁止行為から除外された。日ロの協議に関しては、交渉の余地は残されたと解釈することもできる。

 しかし、北方領土を事実上管轄する極東サハリン州のリマレンコ知事は28日、声明を出し、改憲によって日本の領土要求を封じることができると主張。投票で賛成票を投じるよう呼び掛けた。リマレンコ氏の声明が政権内の意向を反映していることは明らかだ。

 さらに改憲法案は、第2次大戦の旧ソ連の勝利について「矮小(わいしょう)化を許さず」と記した。プーチン氏は第2次大戦の勝利を求心力維持のためのよりどころとする傾向を強めてきた。最近も米誌に論文を寄稿して大戦勝利の意義を強調したばかりだ。旧ソ連は日ソ中立条約を破って対日参戦したが、論文では「(米英ソによる)ヤルタ協定に完全に従って宣戦布告した」と正当化している。

 ロシアはこれまでも北方領土の領有は「第2次大戦の結果」と主張してきた。改憲によってこうした姿勢をさらに強める可能性が高い。

 17日には北方領土周辺を含め「オホーツク海全域で9月18日まで調査を行う」と翌日からの地質調査実施を通告してきた。日本の抗議に対し、ペスコフ大統領報道官は26日、「自国の領内」と強調し一蹴した。