採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2019年12月

ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介
(調査・編集: 主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 今年も残りわずかとなりました。東京では、1日で気温が10℃ほど上下するなど、寒暖差が激しい日々が続いているほか、例年よりも早くインフルエンザの流行も始まっているようです。皆さん、どうか体調管理にはくれぐれもご注意ください。
 さて今回は、11月にクチコミサイト「就活会議」を運営する株式会社リブセンスとHR総研が共同で実施したばかりの、2021年卒業予定の就活生を対象とした「インターンシップ及び就活意識調査」の結果を報告します。インターンシップへの参加動向や今後の参加意向、理想とするインターンシップのタイプ等に加え、インターンシップ参加と就職との関係性等について分析した結果を紹介します。

すでに「4〜6社」のインターンシップに参加した学生が最多

 2019年11月現在における「インターンシップ参加状況」を聞いてみたところ、すでにインターンシップに参加した学生の割合は89%に達し、しかも「1社」という学生はわずか11%にすぎず、78%の学生は複数社のインターンシップに参加しています[図表1]。参加した企業数では、「4〜6社」が25%で最多で、次いで「3社」が14%、「2社」「7〜9社」および「10社以上」が13%などとなっています。「1社」の割合は最も少ないことになります。

[図表1]インターンシップへの参加社数

資料出所:HR総研×就活会議「2021年卒学生のインターンシップ及び就活意識調査」(2019年11月)

 また、実際に参加した学生は89%ですが、応募したものの事前の選考で漏れてしまった学生や、当日欠席してしまった結果、参加社数がゼロとなっている学生が別途いますので、「インターンシップに応募したことがある学生」という見方では、実に全体の95%が企業のインターンシップに応募していることが分かります。早期のインターンシップに参加することは、完全に就職活動の基本的な活動の一つになっていることがうかがえます。
 また、文系・理系別に見ると、文系は「4〜6社」が23%で最多であり、次いで「10社以上」が17%。理系は「4〜6社」が28%で最多であり、次いで「2社」が15%となっています。参加企業数「4社以上」の割合で見てみると、文系54%、理系48%となっており、文系のほうが比較的インターンシップへの参加企業数が多い傾向にあるものの、どちらも半数前後の学生が「4社以上」のインターンシップに参加していることが分かります。もはやセミナー感覚で参加している学生が少なくないということです。かつては、インターンシップを開催すること自体が他社との差別化になっていましたが、これだけインターンシップが当たり前になってしまうと、学生は参加した企業同士を比較することになりますから、企業側としてはその内容がますます問われることになります。

インターンシップ情報源は「就職ナビ」がトップ

 次に、「インターンシップの情報源」について聞いてみたところ、「就職ナビ」が75%で断トツのトップであり、次点の「企業のホームページ」(37%)の2倍以上となっています[図表2]。

[図表2]インターンシップの情報源(複数回答)

 次いで、「インターンシップ専門サイト」が29%で続いています。昨年と同様に、多くの企業のインターンシップ情報を検索・閲覧、エントリーまでできる「就職ナビ」が圧倒的である一方で、「企業のホームページ」が上位にある背景として、学生は、インターンシップへの参加を希望する企業について事前に絞り込んだ上で、直接企業ホームページから応募する傾向が少なくないことがうかがえます。近年、採用年度ごとに内容を切り替える採用ホームページとは別に、SEO施策を意識しつつ、年間を通してその企業での働き方や各種トピックスなどの情報を頻繁に更新し、その効果が注目されている「採用オウンドメディア」の増加が、学生と企業との直接的な接触機会の増加に影響しているものと考えられます。

インターンシップの事前選考なしは1割

 企業からすると、できるだけ多くの学生にインターンシップに参加してもらいたいと思うものの、職場や会場、受け入れ側のスタッフの人員体制等により、参加学生を絞り込まざるを得ないことが通常です。そのために何らかの事前選考を課すことになるわけですが、中には事前選考がない企業もあるようです。「事前選考はなかった」と回答した学生は9%ほど見られました[図表3]。実際には、応募者が少なかったケースや、セミナーの参加受付と同様に先着順で受け付け、定員になったところで締め切った企業があったものと推測されます。

[図表3]インターンシップ参加前に受けた選考の種類(複数回答)

 インターンシップに参加するために「事前に受けた選考の種類」については、「エントリーシート」が85%で最多であり、次いで「適性検査」が64%、「面接」が51%などとなっています。この傾向は昨年と同様に、インターンシップの選考時から採用選考さながらの内容となっています。また、「エントリーシート」と「適性検査」「面接」が上位にあることから、企業としても、今後の採用選考も想定した上で、インターンシップの時点でより適性の高い学生を発掘する機会として、効果的に活用しようとしていることがうかがえます。

「8月」に7割超の学生がインターンシップに参加

 では、2021年卒学生が、「すでに参加したインターンシップの時期」は、どうだったのでしょうか。インターンシップに参加した時期をすべて選んでもらったところ、「8月」が文系・理系ともに最多で、文系71%、理系79%となっています[図表4]。次いで「9月」が文系62%、理系65%、「10月」が文系48%、理系40%などとなっています。

[図表4]インターンシップに参加した時期(複数回答)

 やはり、昨年と同様に、就職ナビがプレオープンする6月以降に参加者が増加し始め、翌7月には文系では昨年の27%から39%へ、理系でも昨年の13%から23%へと10ポイント以上も伸びており、インターンシップの開催時期自体の早期化が見受けられます。また、8〜9月の夏期休暇期間を利用してインターンシップに参加する学生が多く、特に理系では、7月では23%であった参加率が8月は79%となり、50ポイント以上も飛躍的に増加していることが分かります。
 今年廃止された経団連の就活ルールの中で、就職活動等が学生の本分である学業の妨げにならないよう、採用活動等の時期が定められていました。企業はこのルールを尊重し、平日のインターンシップ開催を自粛し、学生が参加しやすい夏期・冬期休暇期間での開催に集中することが影響している結果であると考えられますが、昨年より増加傾向にある10月以降の参加率を見ると、一定の参加率を保っていることが分かります。10月では文系・理系ともに4割以上の参加率であり、特に文系は、11月初旬の調査時点において11月に参加予定であるという学生は61%もあり、多くの学生が11月にも参加することが分かります。
 今後参加予定のインターンシップを見てみると、「12月」が文系・理系ともに最多であり、文系69%、理系56%となっています[図表5]。次いで「11月」が文系61%、理系36%で、「1月」が文系45%、理系48%などとなっています。

[図表5]今後参加予定のインターンシップの時期(複数回答)

 昨年調査と同様に「12月」の参加予定者の割合が最多であり、「1月」「2月」まで4割以上を保っています。ただし、「1月」「2月」開催のインターンシップは、まだ事前選考の結果が出ていないものも少なくありません。最終的には「8月」と同程度の参加率になることが推測されます。

参加したインターンシップは「1日」が最多で7割以上

 「参加したインターンシップのタイプ」については、「1日」が文系・理系ともに最多で、文系82%、理系71%となっています[図表6]。次いで「半日」が文系57%、理系44%、「2〜3日程度」が文系55%、理系45%などとなっています。

[図表6]参加したインターンシップのタイプ(複数回答)

 昨年度と比較すると、「1日」は昨年と同様の傾向となった一方、「半日」は昨年結果(文系47%、理系34%)より文系・理系ともに10ポイント以上も増加し、「2〜3日程度」は昨年調査(文系57%、理系39%)より微減していることが分かります。「半日」タイプのこれほどの増加は、インターンシップがますますセミナー化していることを表しています。
 最も多い1dayインターンシップによくある内容として、「事業の紹介」や「グループワーク」「座談会」等が挙げられ、職業体験としてのインターンシップの役割を考えると、半日〜1日程度では、その企業の業務内容を十分に体験し把握することは厳しいでしょう。しかし、就職活動を意識する学生にとっては、効率的に複数の企業のインターンシップに参加し、採用選考を有利にしたいと考えるのであれば、1日や半日のタイプが現実的に参加しやすい長さであることがうかがえます。

今後参加予定のインターンシップも「1日」が最多で8割

 今後参加予定のインターンシップのタイプ」については、すでに参加したタイプと同様に「1日」が最多で、文系85%、理系77%にも上ります[図表7]。次いで「2〜3日程度」が文系64%、理系55%であり、「半日」が文系38%、理系29%などとなっています。すでに参加したタイプの傾向と異なり、「2〜3日程度」が2位となり、文系・理系ともに5割以上を占めています。

[図表7]今後参加予定のインターンシップのタイプ(複数回答)

 夏期には「1週間」以上のインターンシップを実施した企業も、これからの時期に「1週間」以上のタイプを実施するのは現実的ではなく、1Dayタイプとの中間的タイプとして「2〜3日程度」のインターンシップに切り替える企業が増えるものとみられます。また、学生側もこれまでに参加したインターンシップでの経験を踏まえ、より志望度の高い企業に対し、学校の休みである週末や冬期休暇等を活用し、「半日」や「1日」タイプより深く企業を知ることができる「2〜3日程度」のタイプを選ぶ学生も増えてくるものと思われます。

最も望ましいインターンシップは「2〜3日タイプ」

 そもそも学生が望むインターンシップはどのようなものでしょうか。学生の経験を基に、「最も望ましいと考えるインターンシップのタイプ」を聞いたところ、文系・理系ともに「2〜3日タイプ」が最多となり、文系61%、理系52%となっています[図表8]。

[図表8]最も望ましいと考えるインターンシップのタイプ

 今後参加予定のインターンシップのタイプで「2〜3日程度」が増加したことからも分かるとおり、できるだけ多くの企業のインターンシップに参加すべく、比較的お手軽な「1日」や「半日」のタイプに参加せざるを得ない状況にあるものの、実際は「2〜3日タイプ」が望ましいインターンシップのタイプであると感じていることが分かります。やはり、就業体験を通して企業を知ろうと考えると、ある程度の時間が必要であることがうかがえます。
 学生が「2〜3日タイプ」が望ましいと考える具体的な理由としては、「1日程度だと企業のことは理解できず、3日以上であると学校を欠席しないといけなくなる」が非常に多く、「(2〜3日程度であれば)就活仲間も作れる」や「企業の負担を考えるとこの程度が良い」等の他、「コンテストタイプのインターンシップで実績を残すことが目的」と明確な目的を持って臨む強者の学生もいるようです。

インターンシップ参加後は「次回インターンシップの案内」が最多

 「インターンシップに参加した企業からの、参加後のアプローチ」については、「次のインターンシップの案内」が70%で最多であり、次いで「特別セミナーの案内」が40%、「(プレ)エントリー受付開始の案内」が33%、「早期選考会の案内」が31%などとなっています[図表9]。

[図表9]インターンシップ参加企業からのアプローチ(複数回答)

 この傾向は、文系・理系ともに同様であり、企業としては、次回のインターンシップの案内に加え、特別セミナー等を案内することにより、インターンシップを学生の囲い込みに活用したいことがうかがえます。この傾向は、3月までは採用選考の広報活動をしてはならないという経団連ルールの廃止により、今後、さらに強まっていくことが推測されます。
 今年3月に実施した2020年卒学生向けの調査で同様の質問をした際には、最多は「早期選考会の案内」で52%と半数以上に及んでいました。つまり、早期のインターンシップ参加者に11月上旬の段階で「早期選考会の案内」を行う企業はまだ3割程度にとどまるものの、年明け以降に「早期選考会の案内」が急増することが推測されます。また、今回の調査から、早期インターンシップ参加者に対して、すぐに早期選考を行うのではなく、「次のインターンシップ」や「特別セミナー」を挟むことで、しかるべき選考時期までの囲い込みを行おうとしている姿が浮かび上がります。

現時点の内々定取得とインターンシップ参加との関係性は見られず

 「現時点ですでに内々定を受けた企業の有無」については、「ない」が77%で最多であり、次いで「現在選考中」が18%、「ある」が5%となっています[図表10]。

  [図表10]内々定取得状況

 さすがに11月上旬時点においては「ない」が8割近くを占めているものの、選考中を含めると2割以上の学生は、すでに選考段階に入っていることが分かります。もし、この内々定を受けた採用選考が、すべてインターンシップを経由して行われているのであれば、見過ごすことはできない割合であり、早期インターンシップと企業への就職は密接な関係性があることになります。
 一方、インターンシップへの参加企業数別に内々定の取得状況を見てみると、「0社(応募していない)」で「ある(内々定取得)」と「現在選考中」がいずれも10%あるほか、「0社(選考で漏れた・欠席した)」でも「ある(内々定取得)」と「現在選考中」がいずれも8%となっています。これに対して、「10社以上」の学生における「ある(内々定取得)」は4%にとどまるなど、インターンシップ参加企業数と「内々定取得」の間には有意な関係性は見いだすことはできません[図表11]。

[図表11]内々定取得状況(インターンシップへの参加企業数別)

 ただし、参加企業数の増加に比例して、「現在選考中」である学生の割合は増加し、「4〜6社」で18%、「7〜9社」で37%、「10社以上」となると48%と半数近くの学生が採用選考に進んでいることが分かります。
 したがって、11月上旬段階では、インターンシップへの参加が直接的に早期の内々定取得につながっているとは言い切れない一方、早期に選考段階に進める足掛かりとしては、学生にとって、インターンシップへの参加は少なからず効果的な手段であることがうかがえます。

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
http://www.hrpro.co.jp/
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