外国人社員の受け入れ体制づくりのポイント

千葉祐大 ちば ゆうだい
一般社団法人キャリアマネジメント研究所 代表理事

花王(株)を経て、2012年より現業。外国人材との協働に悩むビジネスパーソンに、価値観の違う相手とのコミュニケーション法を指導するコンサルティング業務を行う。これまで6000人以上の外国人材を指導した経験があり、異文化マネジメントに精通している。著書に、『異文化理解の問題地図〜「で、どこから変える?」グローバル化できない職場のマネジメント』(技術評論社)ほか。

外国人社員の受け入れ体制ができているか?

 外国人社員を活躍させるには、社内の受け入れ体制づくりが重要な要素になる。外国人社員は日本人と立場や特性に違いがあり、従来の受け入れ体制をそのまま適用してもうまくはいかない。そのため、日本人社員との違いを踏まえて、部分的にやり方を変える必要があるのだ。
 では、今までの受け入れ体制のどこを、どう変えるべきなのか。以下で、ポイントを三つほど紹介したい。

ポイント❶ー外国人雇用の重要性を社員全員に伝える

 初めて外国人社員を受け入れる会社にありがちなのが、外国人雇用に対する意識の差が、経営層と現場レベルで大きく乖離(かいり)しているケースだ。経営者の独断で外国人の受け入れを決めたものの、現場はまったく「寝耳に水」。そんなケースが代表的である。
 「そんなの聞いてないよ!」
 「なんだか面倒くさそう」
 「配属先を他部署に変えてほしい」
 こうした社員のネガティブな意識が現場に蔓延(まんえん)していれば、はなから外国人社員との円滑なコミュニケーションが成立するはずがない。上司や同僚が外国人社員を招かれざる客として迎え入れ、彼ら彼女らが職場内で孤立する状況が生まれてしまう。
 そのため、外国人社員の受け入れを決めた際は、経営者はまず、外国人雇用の重要性を社員全員にしっかり伝える必要がある。
 「外国人材の受け入れを決めた経緯はどうしてか」
 「当社にとって外国人材の受け入れがいかに重要か」
 「今後、社内で外国人材とどのように協働していくか」
 こうした点について説明する機会を設け、社員全員に納得してもらうことが大切だ。外国人雇用の重要性を認識すれば、現場は外国人材を「かけがいのない仲間」として迎え入れるようになるだろう。

ポイント❷ー適切な人物を上司に選定する

 外国人社員の受け入れに当たり、適切な人物を上司に選定することが非常に重要である。上司選びを間違えてしまうと、彼ら彼女らの活躍はおぼつかなくなる。「外国人社員の能力を生かすも殺すも上司次第」と言っても過言ではない。
 では、適切な人物の条件とは何か? 日本人上司を選定する際のポイントとしては、次のような点が挙げられる。

・異文化を理解できる人物かどうか
・差別的な意識を持っていない人物かどうか
・説明能力がある人物かどうか

 まず、外国人社員(異文化)に理解のある人物かどうかが、重要なポイントになるだろう。異文化を理解しようとしない、あるいは外国人に差別的な意識を持っている人が上司では、コミュニケーションが円滑に進まず、業務に支障を来すのは間違いない。
 また、説明能力があるかどうかも重要なポイントとなる。日本人が取るコミュニケーションの中には、外国人に伝わりにくい表現方法が多くある。例えば、「例の件、よろしく」「結構です」といった判断がつきかねる、曖昧(あいまい)な表現や「暇なときに、この書類に目を通しておいて(急がないけれど、なるべく早く確認してほしい)」といった本音と建前がある表現に対し、外国人は戸惑うことが多いだろう。
 そのため、日本人と同じやり方だと意思が伝わらなかったり、誤解を招いたりする場合があるのだ。かたくなに今までのやり方を変えようとしない人が上司では、適切なマネジメントを行うことは難しいだろう。

ポイント❸ー孤独にさせない仕組みをつくる

 三つ目として、外国人社員を活躍させるには、彼ら彼女らを孤独にさせない仕組みをつくることが大切だ。具体的には、以下のような取り組みが有効となる。すべて実施するのが理想だが、難しいようであれば、取りあえず一つだけでも着手することをお勧めしたい。

(1)同じ国籍から複数名採用する
(2)「重視されている」と感じさせる
(3)仕事以外のコミュニケーションの機会をつくる

[1]同じ国籍から複数名採用する

 外国人社員は、できれば同じ国籍から何人か採用することが理想である。母国語で気兼ねなく話せる相手がいるだけで、孤独を感じる場面はグンと減るはずだ。

[2]「重視されている」と感じさせる

 孤独を感じさせないために、常に社内の誰かがケアをしてあげる必要がある。頻繁に声を掛けるだけでもよい。「私は重視されている」と感じさせることが大切なのだ。
 「メンター制度」を導入するのも一つの手だろう。先輩社員をメンターに任命し、外国人社員の精神的なサポートをするのだ。メンターは、可能であれば同じ国籍の先輩社員から選ぶのが理想である。母国語を話せる気安さもあって、彼ら彼女らの孤独感が随分薄らぐのは間違いない。

[3]仕事以外のコミュニケーションの機会をつくる

 仕事以外のコミュニケーションの場に誘うのも効果的だ。飲み会や社内サークル、イベント等の機会をつくり、どんどん外国人材を誘ってあげるべきだろう。実は、外国人社員は日本人の若手よりも、こうしたインフォーマルコミュニケーションの参加に前向きな人が多い。母国であまり経験できないイベントであれば、むしろ率先して参加しようとするはずだ。

受け入れ体制の見直しから始めよう

 外国人社員が活躍できない職場は、総じて受け入れ体制が整備されていないことが多い。従来のやり方を何も変えずに外国人材を受け入れ、結果として、うまくいかないケースは枚挙にいとまがない。外国人社員の採用を検討している実務担当者は、まずは、ご自身の職場の受け入れ体制を見直してみる必要があるだろう。

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