「よ〜し、頑張ろう!」

11月下旬の午前10時ごろ、東京郊外の自然公園に掛け声が響き渡り、拍手が湧き起こった。輪の中心にいたのは杏(34)だった。174センチの彼女はスラリとしていて、それだけで目立っていた。来年10月期の連続ドラマ『日本沈没―希望のひと―』(TBS系)の撮影が早くも始まったのだ。

「主演は小栗旬さん(37)。SF作家・小松左京の不朽の名作が原作で、過去にも数度、映像化されてきました。松山ケンイチさん(35)、仲村トオルさん(55)、香川照之さん(54)といった豪華俳優陣の出演も発表されており、TBSの力の入れ具合が見えます。

杏さんが連続ドラマの撮影に入るのは、'19年9月に主演ドラマ『偽装不倫』がクランクアップして以来、1年2カ月ぶりのことです」(スポーツ紙記者)

週刊誌記者役だという杏は、この日、ベージュ色のジャケットに茶色のパンツ姿。撮影していたのは小栗旬とのシーンだ。小雨がちらつく寒空の下、杏と小栗は監督と何度も確認を繰り返す。撮影にのぞむ杏の真剣な表情は、“シングルマザー”として女優業を再開する固い決意の表れに見えた――。

杏といえば、双子の女児(4)と長男(3)をもうけた夫・東出昌大(32)と8月に離婚。

「今年初めには別居生活が始まっていて1人でお子さんたちの面倒を見ていたようです。コロナ禍で外出を控えねばならない不安から子供が夜泣きをぶり返したり、何かと苦労したといいます。離婚が成立し、親権は杏さんが持つことが決まって、ここしばらくは拘束時間が少ないCMやファッション誌の撮影などの仕事をこなしていたようです。お子さん第一のためですね」(テレビ局関係者)

慰謝料はなし。が、共同名義で購入していた都内の一戸建ての自宅は、東出が手放し、杏の所有に。東出はというと、現在、親戚の家に居候しているという。

「杏さんとは相変わらず没交渉ですが、子供たちとは会えているそうで、徐々に明るさを取り戻しています。出演映画の公開が続き、一見、仕事が増えているように映りますが、それらは騒動前に撮影したもの。新規のドラマ出演は厳しいでしょう。CMの違約金の問題も残っています」(映画関係者)

杏には“裏切り夫”のほかに、もう1人頭を悩ませる存在がある。係争中だった実母のA子さんだ。

「A子さんは、杏さんの個人事務所の社長に就任していました。杏さんのギャラは所属する芸能事務所から個人事務所へ払われ、そこから杏さんに支払われる流れになっていたのですが、杏さんは自分に支払われる給与が売り上げに対し、少ないことなどを疑問視。そこで個人事務所を退社し、芸能事務所から直接ギャラが支払われるようにしました。

そのことで、A子さんは杏さんに慰謝料などの支払いを求め、訴訟に発展。今年に入って和解が成立したといいますが、2人は“絶縁状態”と報道されています」(全国紙記者)

夫と母。2つの縁から解放された杏を待っていたのは“ワンオペ覚悟”のシングルマザー生活だ。

杏は、子供たちを保育園に通わせている。彼女のように子供を預け、フルタイムで仕事をしているシングルマザーの孤軍奮闘の苦労を、離婚カウンセラーの岡野あつこさんはこう代弁する。

「子供が保育園で熱を出したりしたとき、代わりに迎えに行ってもらえる人がいないと、職場の人に謝りながら早退したり。また、仕事が長引いて迎えが遅くなり、ほかの家の子より遅い時間までわが子を待たせていることに罪悪感を覚えたなんて話もよく聞きます。

子供は敏感なので、イライラする親を見て、『ママ嫌い』などと、言うことを聞かなくなることも。それでまた子育てに自信喪失して、という悪循環を繰り返す例もある。杏さんは、所属事務所のサポートがあったりベビーシッターを雇っているかもしれませんが、そうでないと1人では到底無理です」

杏は『婦人公論』9月8日号でこう語っていた。

《私、子育ての中で自分に言い聞かせているスローガンがあるんです。「戦国よりはマシ!」って》

“歴女”で知られる彼女らしい物言いだが、3人の子供を育てる苦労がにじむ。仕事と子育ての両立を図れるよう調整もしている、とある芸能関係者は話す。

「子供たちに不安な思いをさせないためにも、極力一緒にいられる仕事のスケジュールを組んでもらうようにしているそうです。『日本沈没』の場合、撮影は来年の初夏ぐらいまでの予定。比較的余裕があるので、子育て中の杏さんにも負担が少ない。それもオファーを受けた理由なのでしょう。ドラマ側には拘束時間の制限をお願いし、できる限り子供たちが保育園に行っている間に撮影をこなすスタンスだそうです」

女優業を本格再開した裏には“自分が稼ぐ”という強い覚悟があるのだろう、と前出・芸能関係者。

「杏さんはとても教育熱心。お子さんが通う保育園も藤井聡太二冠が受けたことで知られるモンテッソーリ教育を取り入れている園。杏さん自ら探して決めたそうですよ。そもそも杏さん自身は高校を中退していますが、家の借金問題のためだったといわれています。だからこそ“わが子たちには金銭的な苦労をさせず、この先も十分な教育を受けさせたい”、そんな思いがあるのではないでしょうか」

仕事終わりだったのだろうか、ある夕方に彼女の姿を目撃したという、買い物客の話が聞けた。

「9月ごろですが、平日の7時すぎに、都内のごく普通のスーパーで1人で買い物していました。Tシャツとレギンス姿で髪をまとめていて、『スタイルのいい人だな』と思ったら杏さんで。玉ねぎなんかの食材をカゴに入れていましたよ。お子さんが一緒じゃなかったので、この後、保育園に迎えに行くのかなと思って見ていました」

芸能人である前に、ひとりの母親として生きている杏。そのたくましさが人の心を打つ演技につながっていく――。

「女性自身」2020年12月15日号 掲載