4月17日の会見で、加藤勝信厚労相が「具体的な段取りを調整し、早期に取り組む」と表明した新型コロナウイルスの抗体検査。対象は無作為に選んだ数千人で、4月中にも開始する予定だ。

アメリカのニューヨーク州では、経済活動の再開に向けた判断材料とするために、4月20日から抗体検査を開始。約14%の人に抗体が確認された。イギリスでは抗体検査で陽性とされた人に“免疫証明書”を発行し、免疫を獲得した人から外出制限を緩和していく計画も検討されている。

世界中で始まった抗体検査だが、その精度はどうなのだろうか。

「世界中で需要があり、数々の検査キットが開発されています。ただ、それぞれのキットがどのくらいの感度なのかは、まだわかっていません」

そう話すのは3月より先駆けて抗体検査を導入している、ナビタスクリニック理事長で内科医の久住英二さん。ナビタスクリニックで導入しているのは、中国メーカーが製造し、日本のクラボウが輸入販売している検査キットだという。

「別のウイルスの抗体に反応しないことがチェックされた製品で、基本的には新型コロナウイルスの抗体にのみ反応します。同じキットを使って国立感染症研究所が、PCR検査で陽性とされた患者で、抗体の有無を調査していますが、発症から13日以上経過した患者では約97%の陽性率だったそうです」(久住さん・以下同)

つまり、発症から約2週間が経過した患者なら、ほぼ抗体を検出できるということだ。

「ただ、この調査はPCR検査が必要とされるほど症状のある人を対象にしています。軽症や無症状の人では、作られる抗体の量が少ない可能性があり、このキットで検出できるのかという未知の部分もあります」

まだまだ課題のある抗体検査だが、それでも緊急時だからこそ進めるべきだと久住さんは語る。

「院内感染や重症化リスクの高い高齢者の世話など、不安と隣り合わせで仕事をしている医療関係者や介護従事者などへの検査は、迅速に進めるべきだと感じます。当院でも、『感染していたかも』という救急病棟の医師がいらっしゃいました。結果は陰性で、『今後も感染しないように、より一層気をつけなければ』と感じられたようです」

一般の人たちの免疫状況を確認することも、有益なデータとなる。

「人口の60%以上に免疫があれば、集団免疫といって感染拡大を抑制できるといわれています。海外ではすでに、どれくらいの人に感染歴があるのかを調査するために、大規模検査が行われており、ドイツの流行地では約14%、アメリカ・カリフォルニア州のサンタクララ郡では約4%が抗体を持っていると推計されています。当院では検査した30人のうち陽性者は1人。まだ集団免疫には時間がかかるという印象ですが、全体像を知るためにも、こうしたデータの積み重ねは重要です。今後は、検査で陽性となった人たちが、自粛が続く経済活動や社会活動を支えられる存在になれればと思っています」

日本医師会も厚労相に抗体検査の速やかな普及を要望している。では、私たち一般人はいつから、どのくらいの費用で受けられるようになるのだろうか。

「治療に直接関係しない検査なので自由診療となり、当院での検査費用は5,500円です。最初は医療従事者に限っていましたが、今は一般の人にも提供しています。検査の手法は非常に簡単なので、保健所などの専門機関でのみ受けられるPCR検査と違って、街中のクリニックで対応できます。導入するクリニックや検査キットの供給量が増えれば、すぐにでも検査はできるはずです」

では、供給体制はどうなのかというと、繊維メーカーのクラボウは、現状1日1,000キットを目安に供給。医療機器ITのセルスペクトも大学や医療機関に研究用として発売しており、今後は体外診断薬としての承認も目指すという。スイスの大手製薬メーカーであるロシュは、5月中をめどに抗体検査キットの承認申請を日本でする予定で、日本の供給体制は整いつつあるようだ。

“普通の生活”を一刻も早く取り戻すためにも、抗体検査を含めたあらゆる方策を講じてほしい。

「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載