今までに4万5000個以上のアイスを食べてきた、アイスジャーナリストのシズリーナです。

 他人の咀嚼(そしゃく)音を聴いて癒される動画が若い人を中心に人気ですよね。人がおいしそうに「バリバリ」「ゴクゴク」など音を立てながら食事している映像で、お腹が減ったり逆に満たされた気になるのって、不思議です。

 食品メーカーも注目しているこうした動画は、「ASMR動画」と呼ばれています。ASMR(=Autonomous Sensory Meridian Response)とは、聴覚や視覚への刺激によって、脳がゾワッと気持ちよくなっちゃう反応のこと。

 で、ピーンときちゃいました。耳せんをつけて骨伝導で自分の咀嚼音を聴きながら食事をすれば、ある意味ASMRを“自給自足”できるのでは?

 それで試してみたら大正解! 耳せんを装着することで、今まで体験したことのない味や風味に出会えるんです! シズリーナはこれを「音グルメ」と名付けました。今回は、食感やのど越しに特徴のある食材を“勝手に集めた”「耳せんをつけて美味しさ倍増、“音グルメ”の最強四天王」をご紹介します!

◆“音グルメ”とは? 耳せんで美味しくなる理由
 実はASMRって、アタシが藝大で学生時代に研究していた「多感覚知覚」というテーマと似ているんです。食感や環境の変化により今まで感じられなかった“味”をキャッチできるという現象があるんですが、耳せんで余計な情報をシャットアウトすることで味覚や聴覚などの感覚が研ぎ澄まされ、素材の味や食感を一層楽しむことができるんですね。これは発見!

 今回は耳せんをつけて様々な食品・飲料を試食し、その中で特に音や風味の良かったもの4つを、シズリーナオススメの食べ方と一緒に紹介します。また騒音計で食べ方ごとの咀嚼音も計測してみました。実験の模様を映像にもまとめていますので、良かったら最後に見てみてくださいね。

◆「ブラックサンダー」(有楽製菓)
 スーパーやコンビニで出会える“黒い雷神”こと「ブラックサンダー」。チョコレートなのにザクザク食感、手軽に食べられるということで幅広い層から支持を得ている商品です。

 実はこの「ブラックサンダー」を冷凍室に3時間眠らせることでチョコがザクザクになって食感が倍増するんですよ! ぜひお試しください!

【騒音計で咀嚼音を計測】
常温版→52.1dB(デシベル)
冷凍版→63.2dB

【耳せんをつけて食べた時の感想】
ブラックサンダーの魅力である「ザクザク食感」を生むための緻密な設計を、とても強く感じました。外側の口どけの良いチョコレートと中に詰まった粗削りのクラッシュココアクッキー、そして細かい空気が詰まったエアリークッキーの食感がとても心地よく、言葉で表現するならば“緊張と緩和”。パッケージに「ザクザク」というワードがないのが不思議!

◆「カラムーチョ」(湖池屋)
「ポテトが辛くてなぜおいしい!」のTVCMでおなじみの「カラムーチョ」。1984年8月に誕生したカラムーチョ(スティックタイプ)は、偶然にもシズリーナと同じ誕生日なんですよ。

 現在発売されているカラムーチョ(チップスタイプ)は、1枚ずつたべるより4枚重ねて食べるとザクザク食感と旨味が倍増します。

【騒音計で咀嚼音を計測】
1枚版→69.8dB
4枚版→78.6dB
※枚数を色々試したところ、音の大きさに関しては2枚版が一番大きく87.2dBでした。おそらく、4枚だと口の中に入れた時に隙間がなくなるため音が反響しづらかったのではないかと思いました。

【耳せんをつけて食べた時の感想】
カリカリザクザクがとても心地よく、カラムーチョのスパイスの味がより際立ちポテトチップスの甘味とも合わさることでカラムーチョの「ポテトが辛くてなぜおいしい!」の謎が解けたように思いました。スパイスの味だけではなく“香り”まで強く感じ取ることができたのは初めて!

◆「BRULEE ブリュレ」(オハヨー乳業)
 アイスクリームの「ブリュレ」は2017年4月に登場し、発売からわずか10日間で完売した記録をもつ、大ヒット商品。実は昨年末ひそかにリニューアルされており、よりバリバリ食感が強くなっているんですよ。

 他にも食感訴求のアイスといえばモナカ系やサンド系もあるのですが、冷やし具合などの環境によって食感にばらつきが出ます。その点、ブリュレには安定感がありました。また、スプーンを入れる角度によってブリュレの表面が割れる音が変わります。オススメの角度は“斜め45度”。

【騒音計で咀嚼音を計測】
角度45度版→63.7dB
角度90度版→62.6dB

【耳せんをつけて食べた時の感想】
まずブリュレのパッケージを開ける「パリパリパリ」と、アイスの表面をこんがりキャラメリゼした焼き目にスプーンを入れた瞬間のなんとも言えない音を楽しんだ後、耳せんをつけて食べると……今までは濃厚ミルクアイスの印象が強かったのですが、“香ばしい苦味”や“風味”を強く感じることができ、ブリュレを存分に味わうことができました。

◆「サントリー天然水スパークリング レモン」(サントリー)
 ひと仕事を終えた後の缶ビール。プルタブを引いた時の「プシュッ」っという音は、いつ聴いてもいいですよね。天然水スパークリングのボトルを開ける時の音の心地よさは、まさにそれ!「シューッ、ポンッ!!」という音はなんだかそれだけで気分転換になりますし、ボトルの注ぎ口に耳を当てると「ジュワジュワジュワ」と炭酸の泡が無邪気に弾ける音が心地よいメロディーとなって脳を刺激してきます。

 コップに注いで飲むのではなく、あえてボトルのままのど越しを楽しむことをオススメします。

【騒音計で咀嚼音(嚥下音)を計測】
グラス版→56.3dB
ボトル版→63.2dB

【耳栓をつけて飲んだ時の感想】
まずボトルキャップを開ける時の音と、ボトルの中で細かく炭酸がハジける音を堪能してから耳せんを装着。のど越しを感じながら飲むと……同じ商品とは思えないぐらい“レモンの風味”をより強く感じました。生レモンを丸ごと搾りいれたような味や香り、苦味までも強く感じられました。

「音グルメ」で、お菓子やアイスの食感だったり、飲料ののど越し、そしてすべての“風味”をより身近に感じていただき、おいしさだけではない、食の“楽しさ”も広がっていけばいいなと思っています。ぜひとも今回紹介した食材・飲料で、耳せんを装着して「多感覚知覚」を体験してみてください! 今まで気づけなかった味や風味に出会えますよ!

 シズリーナは「多感覚知覚」が、新しいジャンルの「進化系ASMR」を担っていくのではないかと思っています。お試しいただいたら、ぜひ感想コメントもお待ちしております。

<文・写真/アイスジャーナリスト シズリーナ>
【シズリーナ】年間4000種類以上のアイスクリームを食べ歩くアイスジャーナリスト。東京藝術大学出身。アイス料理研究家・企業コラボニストとして「雪見カレーヌードル」「エッセル冷やし中華」など、アイスを意外なものと掛け合わせるアレンジレシピを考案し話題に。インスタグラムは@sizzle_feeling426、ツイッターは@sizzleeena