今年の春は新型コロナウイルスによる外出自粛によって、自宅でBBQを楽しんだ方が増加したという。ホームセンターでは簡易型のBBQコンロが飛ぶように売れたのだとか。そこで今回は、スーパーで手軽に買える肉を誰でもできる一手間で、極上の旨さを味わえる極意を紹介していこう。これからのBBQハイシーズンに、ぜひ活用してほしい。

◆BBQで肉をおいしく、上手に焼き上げるコツ
 話を聞いたのは、日本の食材の王国とも呼ばれる宮崎で人気の割烹料理店、渋玄のオーナー・新田倫明氏だ。

「柔らかくお肉を食べるなら、まずは“筋”を切ること。筋を切っただけで、お肉はビックリするくらい柔らかくなります」

 肉を旨いと感じる要素の一つに「柔らかさ」がある。この柔らかさの邪魔をしているのが筋と言われる部分で、脂身と赤身の肉の境界線に入っている硬い部分のことなのである。筋は熱を通すと硬くなり縮んでしまうため、肉全体を小さくして口に入れたときの食感を悪くしてしまうのだ。

「筋切りは飾り包丁とも言われ、包丁でサクサク切れ目を入れることで筋を細かく切っていきます。これだけで食べたときの食感が随分と柔らかく感じられるでしょう」

 これは厚めのステーキでも、薄く切られたカルビでも同様。むしろ、筋の多い安いカルビはこの筋切りをするかしないかで、食感には雲泥の差が出る。料理をあまりしたことがなく、筋がどの部分かわからず不安な方は包丁の代わりにナイフを使うといいだろう。薄い肉なら片面、ステーキなどの厚い肉は両面をそれぞれ満遍なく十数回、フォークで刺していけばいい。これだけで肉は柔らかくなるのだ。

◆ジューシーに焼くコツは油
 筋を切ったら、次は“焼き”だ。

「BBQなど、炭火や直火で焼くとお肉から脂が落ちて水分が飛んでしまいます。サシが入った高級なお肉は焼いてもお肉の中に脂があるので、柔らかくジューシーなままですが、肉の中に脂が少ないとすぐにパサパサになってしまうのです。だから、足りない脂は油で補います。味は好みで胡麻油やオリーブオイルを焼く前に塗ればいいのです」

 基本の火加減は「強火の遠火」。火がついてしばらくたった熾火の状態がベストだという。そのため、火をおこしてすぐに焼き始めるのは厳禁だ。

 今回はハケを使ってオリーブオイルを塗ったのだが、ビニール袋に肉と油を入れて軽く揉み込めばOKだ。さらにおいしく焼き上げたいなら、焼いている最中もハケで油を塗ると、焼き上がりはとてもジューシーになる。ワンランク上を目指したいなら、ローズマリーなどのハーブをハケの代わりにして肉に油を塗ってみるといいだろう。ハーブがフワリと香る焼き上がりになるはずだ。

「ステーキなどの塊肉は表面が少し焦げるくらいまで焼いて、アルミホイルで5分ほど包めば余熱でしっかり中まで火が通り、肉汁がお肉の中に閉じ込められてジューシーになるんです」

◆焼きながら油を塗るという手法は野菜にも◎
「焼きながら油を塗るという手法はお肉だけでなく、野菜を焼くときに使ってみるといいでしょう。パサつかずしっとりとしたグリル野菜が簡単にできます」

 丸焦げになって誰も手をつけない野菜……。BBQではよく見かける光景だ。だが、野菜もこの手法で焼けば簡単においしく焼き上がるので、ぜひ挑戦してほしい。

 ステーキを切り分けて、夏野菜のグリルを添えれば完成。シンプルに塩とコショウ、レモンを搾って食べればビールも進むはずだ。

◆焦がさないために話題のアイテムを使ってみても
 BBQでウンザリするのが、肉の焦げつき。そんな焦げつきをなくしてくれるアイテムが話題になっている。それがこのテフロン加工された網。肉の焦げつきを防いでくれるので、簡単に肉が焼けると評判。特に焦げつきやすい鳥肉や魚を焼くときに重宝するはずだ。

 価格は1000円前後と手軽。BBQの必須アイテムとして昨年夏は大ヒットした商品。

<取材・文/佐藤永記 長谷川大祐(本誌) 撮影/赤松洋太>