主婦であれ、ひとり暮らしであれ、朝の時間は1分でも貴重。できれば自炊がしたいけれど、準備も後片付けも面倒ですよね。

 でももし、朝の8分で3品同時に作れるとしたらどうですか。『朝8分ほったらかし弁当』には、「水を入れて強火で『8分蒸す』だけ」のレシピが、176も掲載されているのです。

 著者の川崎利栄さんは、フードスタイリスト兼フォトスタイリスト。なんと7人の大家族で、仕事をこなしながら「ほったらかし弁当」を考案したのです。そのメリットを簡単にご紹介しますね。

・3品同時調理で時短が叶います。
・包み蒸しだから、焼き油も揚げ油もいりません。
・火加減いらずで失敗なし。水を入れて、フライパンの底面に火がまわるくらいの強火にかけるだけ。
・水分が飛んでパサつきがちな食材も、包み蒸しならふっくらやわらか。
・ひとつのフライパンで3品同時調理するから、洗い物が少なくて片づけがラク。

◆覚えることはたった3つ!
 メリットがわかったところで、注意点も知っておきましょう。本書から要点をまとめてみました。

1 包む!
 クッキングシートを幅30㎝×長さ30㎝〜40㎝ほどに切り離し、真ん中に食材をのせる。お肉はなるべく重ならないように薄く広げるのが、火の通りをよくするコツ。蒸している間にクッキングシート内に水が浸入しないよう、左右をきつめにねじる。上部も途中で開かないよう、しっかり閉じて。

2 蒸す!
 直径28㎝のフライパンに包みを入れて、水を500ml注ぎ(直径26㎝の場合は水400ml)、ふたをして中がぐつぐつ煮立つくらいの強火で8分間蒸す。

3 冷ます!
 フライパンから包みを取り出し、バットなどにのせて冷ます。蒸気がとても熱いので、包みを持つ時に火傷しないように注意。

 使う道具はふたつきフライパンとクッキングシートだけ。8分間放置するだけで、手の込んだメニューもできてしまうのです。8分で176レシピって、ありがたい以外の感想が思い浮かびません。

◆たった8分で、立派な「牛しぐれ弁当」が完成
 毎日の自炊に次ぎ、悩むのがお弁当。ヘルシーだし節約にもなるとわかっていても、早起きするのはうんざり。そんなジレンマとは、今日からサヨナラ。本書がオススメするナンバーワン弁当が、「牛しぐれ煮弁当」。

 え? 東京駅で売っている駅弁レベルじゃないの。と戸惑うなかれ、「牛しぐれ煮・小松菜の蒸し卵・にんじんと大根のなます」が、フライパンひとつ&8分でできちゃいます。

☆牛しぐれ煮弁当

【材料(2人分)】
・牛しぐれ煮
 牛こま切れ肉  150g
 ごぼう(ささがき水煮)  1/3袋(30g)
 しょうが(細切り)  大1かけ(20g)
 片栗粉  小さじ1/2
 A
 砂糖  大さじ1
 しょうゆ  大さじ2
 酒、みりん  大さじ1/2

 白ごま  少々

・小松菜の蒸し卵
 卵(溶きほぐす)  2個
 小松菜(1㎝長さに切る)  1/3株(25g)
 水  大さじ1
 塩  ひとつまみ

・にんじんと大根のなます
 にんじん(ピーラーでスライス)  2㎝(20g)
 大根(ピーラーでスライス)  2㎝(50g)
 B
 砂糖  大さじ1
 酢  大さじ1

★包み方
・牛肉をなるべく重ならないようにクッキングシートにのせ、片栗粉をまぶしAをまわしかけ、ごぼうとしょうがをのせて包む。
・ボウルに卵を小松菜と塩を入れて混ぜ合わせ、あらかじめ両端をねじったクッキングシートの型に流し入れる。
・にんじんと大根をクッキングシートにのせて包む。

<作り方>
1 3品をフライパンに入れて水500mlを加え、ふたをして強火で8分蒸す。フライパンの中心に肉を入れる。お弁当に冷ましたごはんを詰める。
2 フライパンから包みを取り出す。牛しぐれ煮は全体を混ぜる。小松菜の蒸し卵はシートに包んだまま形成し、食べやすい大きさに切る。にんじんと大根のなますは、Bを加えて軽く混ぜる。
3 おかずが冷めたら、お弁当箱に詰める。牛しぐれ煮にごまをふる。

 通常、牛しぐれ煮を作る時は鍋かフライパンを使い、卵料理は卵焼き器で焼き、なますは電子レンジで加熱して……、といくつかの工程を踏みますよね。特に私は手際が悪いので、気づけばシンクに洗い物の山、というのもめずらしくありません。しかし、今回は洗い物が超ラク! お弁当箱に詰めなければ、夕食にも早変わりします。これ、覚えておけばかなり重宝しそう。

◆アレンジ自在、「基本の蒸し卵」
 お次は、前のレシピでも紹介した蒸し卵の基本レシピをご紹介。実は私、出汁巻き卵や厚焼き玉子を作るのが、ちょっと苦手。時間もかかるし、油断すると焦げてしまいます。でも「8分蒸し」なら、しっとりふわふわに仕上がるのです。

☆基本の蒸し卵
【材料(2人分)】
卵  2個
水  大さじ1
塩  ひとつまみ

<作り方>
1 クッキングシートの両端をきつくねじって型を作る。
2 人差し指と中指で1を四方に引っぱり、底面を平らにする。
3 ボウルに卵を割り入れてよく溶き、材料をすべて加えて2の型に流し入れる。
4 包みを入れたフライパンに水500mlを加え、ふたをして強火で8分蒸す。フライパンから包みを取り出し、清潔なふきんの上にのせる。
5 ふきんごと手前から奥へ巻き、卵焼きの形になるよう整える。粗熱がとれたら食べやすい大きさに切り、よく冷ます。

 こちら、まんべんなく焼けていて、均一に美しい黄色なのです。お寿司屋さんの卵焼きと見紛う完璧さ。本当に私が作ったの?と朝からテンションマックス。基本の蒸し卵にミックスベジタブルを投入したり、鶏そぼろを加えたりと、アレンジも自在。思いのほか簡単に形が変えられるのも、魅力のひとつです。

 究極の時短レシピでありながら、味も申し分ないのが本書のすごさ。でももしかしたら、クッキングシートになじみのない方もいるかもしれません。はい、私もそうでした。紙というだけで、不安になってしまうのですよね。

 クッキングシート初心者の意見としては、慣れるまでは気持ち多めにシートを使うこと(ケチってはダメ)、包む、ねじる、をかなりしっかり目にやること、が大事なポイントかと。とはいえ使いこなしてしまえば、これほど頼りになるグッズはない、と実感しました。

 本書には、ケバブやチリコンカン、ぶりの照り煮まで、本当に8分?と疑いたくなるレシピがたくさん。ページをめくるごとに、感動しちゃいますよ。

―小説家・森美樹のブックレビュー―

<文/森美樹>
【森美樹】1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)を上梓。Twitter:@morimikixxx