2021年から導入される予定だった新しいテクニカルレギュレーション。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年シーズンの開催・開発スケジュールに大きな影響が及んでおり、チームの財政面を考慮した上で、新レギュレーションの導入を2022年に遅らせることが決まった。

 この新レギュレーションでは、現在では一般的である”ハイノーズ”スタイルが封じられることになり、ウイングがノーズに直接取り付けられる。その結果、1980〜90年代前半頃のF1マシンの姿を彷彿させる部分もある。

 また空力デザインの専門家にとっては、マシンの中心部を”開ける”ことによって、ダウンフォースを確保することができないということを意味する。

 ハイノーズのマシンは、1990年の第3戦サンマリノGPでデビューした。ティレル019である。これを機に、多くのチームがこのアイデアに追従。様々なデザインコンセプトが登場することになった。マシンのアンダートレイ前方に構造物がなくなったことにより、ダウンフォースの発生量を大幅に向上させることができるようになったのだ。

 1989年にフェラーリからティレルへと移籍したハーベイ・ポストレスウェイトとジャン-クロード・ミジョーは、長年にわたって蓄積してきた数々のデザインアイデアを実践した。

 ミジョー曰く、ルノーに在籍していた頃に、すでにハイノーズのコンセプトが含まれていたと語る。

「1985年、私がルノーで行なった最後のテストの時には、このアイデアがすでに存在していた」

 そうミジョーは語る。

「モノコックの下を大きく切り取ると、当時の性能の良くない風洞でもいくらかの利益が得られた。それを私は記憶に留めていた。しかしその後チームが解体されたため、別の仕事を見つける必要があったのだ」