2020年1月末、MotoGPに参戦するヤマハはマーベリック・ビニャーレスとの契約延長を発表した。さらに間を開けずにファビオ・クアルタラロの2021年ファクトリーチーム昇格、3度のMotoGP王者ホルヘ・ロレンソのテストドライバー起用と、立て続けにチーム体制を明かしたのだ。

 これはヤマハのサプライズだったと言える。ビニャーレスはヤマハ勢ではここ2年間で勝利を挙げた唯一のライダーだが、彼が2020年以降もヤマハに留まるかは定かでは無かった。タイトル獲得を狙うドゥカティが触手を伸ばしているという噂があったためだ。

 クアルタラロのファクトリー昇格も想定以上に早い決定だったが、ドゥカティは彼にも獲得の興味を持っていたと言われている。

 2015年のロレンソの戴冠以来、チャンピオンの座から遠ざかっているヤマハ。バレンティーノ・ロッシというMotoGP界随一のプロモーション効果を持つ男をファクトリーチームから退かせるという決定は、ヤマハが打倒マルク・マルケス(&レプソル・ホンダ)に向けて本気だということを示している、と言える。

「ファクトリーチームの担当が行なえる“最悪の事”は、たとえ望まれていないことでも、あるライダーよりも“利益”をもたらすと予想されるライダーを起用することだ。それが近年ここで起こっていたことだよ」

 ヤマハのある匿名の情報提供者はそう明かした。しかしながら、前述の決定を見るに“何か”がこの冬に変わった。そしてライバルはそれを見逃していない。

 レプソル・ホンダのチームマネージャーであるアルベルト・プーチも「我々の最大のライバルは、過去18年間で7度チャンピオンとなったヤマハだ」と断言している。

 そのホンダは、向かうところ敵なし状態のマルク・マルケスとの契約を2024年まで延長。その弟でMoto2チャンピオンのアレックス・マルケスを迎え入れたことで、ファクトリーチームの将来は見通しもよく立っていると言える。



 そして日本勢の一角であるスズキも、2021年以降のライダー確保に向けて既に動いている。

 スズキは2015年のMotoGP復帰以来、一歩一歩戦闘力を高めてきた。現在のコンスタントな競争力は、2017年にスズキでMotoGPデビューを果たしたアレックス・リンスと、安定したガレージ内の取り組みによるもので、両者はスズキの継続的な成長に不可欠なものだ。

 motorsport.comの調べでは、既にスズキは2021年以降もリンスとジョアン・ミルの2名を起用することを決め、コンビが継続されることはほぼ確実、といった状況にある。

 昨年2勝を挙げるなどトップコンテンダーのひとりとなったリンス。ミルもルーキーながら良好なパフォーマンスを示しており、両者は他チームから興味を持たれていた。だが彼らの契約のパフォーマンス条項もありそれは未然に防ぐことができたと理解されている。