現在、新型コロナウイルスの流行によって多くの国がロックダウンや外出自粛となっている中、motorsport.tvは、通常有料のコンテンツを一部無料公開している。今回はその中から、1990年世界スポーツカー選手権(WSPC)第5戦ディジョンを紹介する。

 グループCカーを代表するマシンのひとつ、メルセデス・ベンツC11が圧倒的な強さを見せたこのシーズンだが、F1にデビューする前のミハエル・シューマッハーは、メルセデス2号車のドライバーとして参戦した。メルセデス1号車はジャン-ルイ・シュレッサーとマウロ・バルディのコンビで1年を戦い通したが、2号車はベテランのヨッヘン・マスの相方として、シューマッハー、カール・ヴェンドリンガー、ハインツ-ハラルド・フレンツェンという当時の“メルセデス若手三羽ガラス”が交代で参戦していた。

 シューマッハーは第3戦シルバーストンに出場したが、予選でギヤリンケージが破損した際、外部の人間からのアシストを受けたとして失格処分に。決勝を走ることができていなかった。そのため、このフランス・ディジョンでのレースがシューマッハーにとって実質的なデビュー戦となった。

 決勝レースでマスからマシンを引き継いだシューマッハーは、素晴らしい走りを見せた。彼はアンディ・ウォレスの駆るジャガーを瞬く間に周回遅れにし、僚友の1号車に追い付いた。ターボのブーストが低く設定されているにも関わらず、先頭とのギャップを一気に縮めたのだ。

 最終的にシューマッハー/マスの2号車は2位に終わったが、シューマッハーは自身の担当スティントで1号車にプレッシャーをかけ続けた。そして彼にとって、世界選手権クラスのレースでの初めての表彰台となった。

 シューマッハーはその後2レースでC11のステアリングを握り、第6戦ニュルブルクリンクで2位、最終戦エルマノス・ロドリゲスでは優勝を果たした。