今年4月、アプリリアのアンドレア・イアンノーネはドーピング違反(アナボリックステロイドの検出)があったとして、18ヵ月間の出場停止処分を下された。

 イアンノーネはこの処分に対して抗議する姿勢を見せており、スポーツ仲介裁判所に控訴すると主張している。

 彼のドーピング疑惑が持ち上がった際、アプリリア・レーシングCEOのマッシモ・リボラはイアンノーネが長期間の処分を受けるようなら、契約破棄もあり得ると語っていた。しかし実際には、FIMによる処分は“馬鹿げている”としてイアンノーネをサポートしていくと約束した。

 イアンノーネはアプリリアが契約破棄という道を選ばなかったことについて感謝していると、その内心を明かした。

「アプリリアには感謝を伝えなくちゃいけない。なぜなら彼らは決して諦めず、常に僕の無実を信じてくれたからだ」

 イアンノーネはイタリアのMotorsprintにそう語った。

「彼らが僕を放り出して、他のライダーを代役にする方がもっと簡単だっただろう。僕のシートに喜んで取って代わるヤツはたくさんいる。その場合、僕はこの馬鹿げた状況でひとりきりになって、より難しい状況に陥っていただろう」

 ドーピング疑惑が持ち上がったのは昨年末。その後イアンノーネには暫定的な出場資格の停止処分が下され、2月のプレシーズンテストにも参加できない状況になっていた。

 しかしアプリリアは2020年シーズン体制発表の場に、イアンノーネを参加させた。

 こうしたアプリリアの姿勢は、当時のイアンノーネにとって非常に大きな意味があったと彼は振り返っている。

「カタールへオフィシャルの写真を撮りに行った時、リボラは僕にもう1日滞在してくれるように頼んできたんだ。でも僕はその夜に帰るための飛行機を手配してくれるように頼んだ」

「僕が重要なプレイヤーじゃない中で、1年中開発に取り組んできた、優れたポテンシャルがあるだろう新型マシンを試せないのは、本当に耐え難かったんだ」

「自分のガールフレンドが目の前で奪われたようなモノと少し似ていた。起こりうる最悪の事態だよ。少し嫉妬していたし、遠くへ行きたかった。去るものは日々に疎しってやつだ」

「でも、体制発表の写真撮影に参加してほしいと言われたことで、アプリリアは僕を大切にしていると示したんだ。こうした姿勢は忘れられない物だ。おそらく他の人にとっては重要なことじゃないかもしれないけど、僕にとってはとても価値のあることだった」