先日、アウディが2020年限りでDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)から撤退することを発表。これで参戦メーカーはBMWの1社のみとなり、この選手権の存続が懸念されている。

 DTMが現行のClass1規定でシリーズを存続させられると考えているのものは、ほとんどいない。そのため、来年以降は異なるレギュレーションを採用することもあるのではないかと言われている。

 関心を集めている選択肢のひとつが、世界耐久選手権(WEC)やIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)で使用されているGTE規格に切り替えることである。これはDTMがスーパーGTとプラットフォームを共有する際に“プランB”として考えられていたものだ。

 このGTE規定のマシンを製造しているのは、フェラーリ、ポルシェ、コルベット、アストンマーチンなどだ。BMWもWECには参戦していないが、IMSAでM8 GTEを走らせている。

 1988年から1992年にかけてDTMに参戦したアルフリート・ヘーガーは、GTEマシンがクラス1マシンと混走できるようにすれば、DTMは少なくとも短期的には存続できると考えている。

「アウディの撤退はDTMの終焉ではない」とヘーガーはmotorsport.comに語った。

「新たな始まりのチャンスだ。技術規則、競技規則を前向きな形に変更することはまだ可能だ」

「ポルシェ(911)RSR、シボレー・コルベット、アストンマーチンやフェラーリのようなマシン(の導入)は、DTMにとって正しい形の移行になると思う。こういったGTカーはWECに素晴らしいものを提供している。そしてそのマシンは手に届くところにある」

「だからこそ、そういったマシンをDTMのカスタマーカーとして見ることができるだろう。おそらくClass1のマシンと混走することになるだろう。1年や2年はそうやって一緒に走ることができるのではないだろうか」

 世界的なスポーツカーのレギュレーションを、ドイツの国内選手権で採用するのは初めてのことではない。DTMの前進とも言えるドイツ・レーシングカー選手権(DRM)は1985年で終了となったが、グループ5とグループCのマシンによって争われていた。

 しかしヘーガーは、GTEを採用するのはDTM存続のための一時的な解決策であり、今後はメーカーに大きく依存しない、まったく新しい形を考案する必要があると信じている。

 ヘーガーは2020年代半ばまでに「DTMの完全に新しいコンセプトを開発する必要がある」と語ると共に、電動化へ進むのは未来に向けた正しい解決策ではないと考えていると付け加えた。

「VLN、GTマスターズ、DTMを長年みてきたモータースポーツファンは、電気自動車には興味がないと思う」

 そうヘーガーは続けた。

「私の意見では、ITRのコンセプトは、轟音を上げるエンジンを持ち、興味深いシルエットのマシンでなければならない。そして裕福なプライベートチームや、プロチームにも参加する機会を提供することになる」

「我々の問題は、政治的な状況のため、メーカーに依存するモータースポーツを追求するのは、将来的には難しいだろう。それは、メーカー側としても同様だ」

「GTマスターズがDTMよりも優れている点はここにある。同シリーズはメーカーが作ったクルマを走らせているが、シリーズ自体はメーカーに依存していない」

 ハンス-ヨアヒム・シュトゥックは、アウディがDTM撤退を発表する以前から、DTMでGT3マシンを使うことを提言しており、ITR会長のゲルハルト・ベルガーも、当初は難色を示していたものの、最近では多少は前向きな姿勢になっていることを明かしていた。

 しかしヘーガーは、DTMはGTマスターズとの差別化が必要だと主張している。

「私はそうは思わない」

 DTMでGT3マシンを採用する案について尋ねると、ヘーガーはそう語った。

「もしGTマスターズがGT3マシンを使って開催を続けるならば、DTMは本当の意味で差別化するために、別の策を講じる必要がある」