トロロッソ(現アルファタウリ)でF1デビューを果たし、2015年にはレッドブル昇格を果たすなど順調に見えるキャリアを送っていたダニール・クビアトは、2016年のシーズン途中にトロロッソへ降格させられると、2017年シーズンを最後に一旦F1のレギュラーシートを失ってしまった。

 2018年はフェラーリの開発ドライバーに就任したクビアトだったが、1年後にはレッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコから再びF1で走るチャンスを与えられ、トロロッソから再デビュー。2020年シーズンも名称を“アルファタウリ”と新たにしたチームに残留した。

 クビアトはフェラーリ時代の2018年4月、シミュレータ業務の一環として、フィオラノのテストトラックでピレリのウエットタイヤをテストした。フェラーリSF71Hをドライブしたクビアトは、その時に大きな感銘を受け、F1復帰に全力を尽くす決意を固めたという。

「フェラーリ、そしてフィオラノでのテストということもあったから、僕にとってはとても印象的な時間だった」とクビアトはF1公式ポッドキャスト番組『Beyond the Grid』で語った。

「とてもクールなものだった。6ヵ月以上(F1マシンを)ドライブしていなかったから、とても楽しむことができた」

「その日僕は、自分が何としてもF1に戻りたいと思っていることに気付いた。自分の一番やりたいこと、一番得意なことはこれだったんだ。実際にテストでも非常に良い走りができて、一貫したラップタイムを刻めた。そして全員がとても満足していた」

 既にF1で4シーズンのキャリアを積んでおり、トップチームであるレッドブルにも所属した経験があったクビアトだが、フェラーリでのテスト走行では緊張したことを認めた。

「その日の朝食の時点でとても緊張していたと思う」

「しばらくマシンに乗っていなくて心配だったから、僕は『よし、アウトラップでスピンだけはしないようにしよう』と思った。でも幸運なことに僕はコースに出てブレーキを徐々に遅らせていくことができた」

 トロロッソから放出されてF1のコックピットから離れた中で、フェラーリで開発ドライバーとしての経験は非常に重要だったとクビアトは振り返る。

「僕は非常に難しい時を過ごしたので、少し羽を休める必要があった」

「家で頭を空っぽにしてひたすらトレーニングをするというのも、とても良い経験になった」

「そして僕はフェラーリで開発ドライバーとしても仕事をした。僕はイタリアのチームが本当に好きだし、特にフェラーリには素晴らしい歴史がある」

「それは僕が望んでいたような仕事ではなかったけど、僕は結果を残してマシンの開発にも貢献できたと思っている。彼らも僕が全力を尽くしていると感じてくれていたし、仕事ぶりに満足してくれていた」