F1世界選手権初年度から参戦を続けている唯一のチームであるフェラーリ。その歴史の中には困難な時期も度々あった。

 そんな中でも最も厳しいシーズンだったのは、1992年だった。この年のマシン”フェラーリF92A”は、パフォーマンスを全く発揮できなかった。サーキット以外での混乱、信頼性不足……そういった様々な要因もあり、表彰台はわずか2回。獲得ポイントもわずか21だった(当時の入賞は6位まで。1位は10ポイント)。

 しかし、マシンは意欲作だった。ダブルフロアを始めとした各所の空力処理は、実に独創的なものだった。ただ当時はパフォーマンスを発揮できなかったことで批判の的となった。

 F92Aのドライバーだったジャン・アレジにインタビューをしたところ、当時何が起きていたのか、その新しい視点が明らかになった。そこでデザイナーのひとりであるジャン-クロード・ミジョーの助けも借り、F92Aの実情を振り返ってみようと思う。