フェラーリF1のスター、ジル・ビルヌーブがゾルダーで命を落としてから38年が経つ。この特集ではビルヌーブの最後の週末とそれに至るまでの出来事を振り返っていく。

 1982年5月8日。F1ベルギーGPの予選セッションは佳境を迎えていた。フェラーリのジル・ビルヌーブは、チームメイトのディディエ・ピローニが記録したタイムを塗り替えようと必死の形相でピットを後にした。しかし、彼がピットに戻ってくることはなかった。

 スロー走行中のヨッヘン・マスのマシンに乗り上げたビルヌーブは、その衝撃でマシンから投げ出され息を引き取った。なぜビルヌーブはそこまで必死になってタイムを更新する必要があったのか? そこには2週間前のレースで起きたある事件が関係していた。その一件を紐解く前に、まずは歴史上で最も速く、最も高い人気を誇ったドライバーのひとりであるビルヌーブのキャリアを振り返ってみよう。