夢の夢の夢? 所詮は担当者が作ったおとぎ話程度だろう。真に受けてはいけないし、受けるつもりもない。

「リオネル・メッシの移籍先はマンチェスター・シティが最有力」

複数のメディアが報じている。バルセロナのディレクターを務めるエリック・アビダルがクラブの内情を暴露→怒ったメッシが移籍志願→シティが興味津々、といった流れだ。まぁ、メッシがやって来れば攻撃に拍車がかかる。年間120〜130ゴールも可能だ。たしかに胸は躍る。しかしジョゼップ・グアルディオラ監督は、30代の選手に興味がない。攻守の切り替えが鈍いタイプもノーサンキューだ。

同じマンチェスターなら、ユナイテッドの方が可能性大か。強化担当のエドワード・ウッドワードは、メッシの知名度にカネの臭いを感じるだろう。「大きなスポンサー契約、取れるかもしれない」。嗚呼、こうしてユナイテッドはさらに堕ちていく。ただ、メッシにとってマンチェスターは寒すぎる。イングランド北西部の気候は、アルゼンチンとバルセロナで育った彼にすれば極寒だ。ちなみにマンチェスターとリヴァプールは、わずか50キロしか離れていない。

したがって、もしメッシがプレミアリーグにやって来るのなら、ロンドンのクラブがベターとも考えられる。チェルシー? 新旧交代の真っ只中だ。トッテナム? ジョゼ・モウリーニョ監督がメッシを好むはずがない。アーセナル? ミケル・アルテタ監督のチーム創りは若手と中堅が基軸だ。

ビッグ6の実状をよく理解すれば、メッシに手を出すクラブはないだろう。彼らのターゲットはレヴァークーゼンのカイ・ハベルツであり、ドルトムントのジェイドン・サンチョ、パリ・サンジェルマンのキリアン・ムバッペ、リヨンのムサ・デンベレだ。ナポリのカリドゥ・クリバリとライプツィヒのダヨ・ウパメカノも、来シーズンこそプレミアリーグにチャレンジする公算が大きくなってきた。

現時点で、メッシを移籍レーダーに捉えているクラブはない。いや、この不世出のスーパースターをバルセロナがおいそれと手放すはずがない、と考えるのが常識であり、離れるとすればメッシと微妙な関係にあるアビダルの方だ。

しかし、メッシも6月24日で33歳になる。バルセロナとの契約は来年6月末日までだ。さらに延長するのか、別れのときを迎えるのか、だれしもが興味を隠さずにはいられない。アスル・グラナで伝説を書き加えるもよし、新天地で、例えば日本で、新しい物語の1ページを開くもよし……。

「メッシの移籍先はシティ最有力」が〈マユツバ〉だとしても、彼を取り巻く環境は来年夏までに多少は変わる。いったい、なにが起きるのか。心の準備だけはしておこう。

文:粕谷秀樹