新型コロナウイルスによって大幅なスケジュール変更を余儀なくされたフットボール界は、6月末日で契約が切れる選手に対し、クラブとエージェントが柔軟に話し合う必要がある。契約期間が6月末日までだったとしても、今シーズンは特例だ。双方が歩み寄り、多くのサポーターが納得する折衷案を見いださなければならない。

「わたしの顧客は6月30日までの契約だ。その後の試合には出場しない」

何人かのエージェントは傲慢に振る舞うに違いない。しかし、現状を踏まえてさえいれば、世間のヒンシュクを買う主張であることはだれだって理解できる。交渉下手が指摘されるクラブの強化担当も含め、丁寧、かつ親切なやり取りが望ましい。FIFAも特別措置を講じる予定だ。

移籍市場も延長すべきだ。経済力の有無にかかわらず、夏の間に新シーズンの体制を整えられるクラブはない。イタリア、スペイン、ドイツはリーグ再開の目処すら立てられず、イングランドもプレミアリーグが6月初旬のリ・スタートを検討しているとはいえ、新型コロナウイルスの感染がより拡大すれば、再考せざるをえなくなる。

したがって、この問題でも柔軟な姿勢が重要となり、移籍市場を開幕から2021年1月まで延長するとか、ローンの場合はフルシーズン認めるとか、慣例を破って対応しなくてはならない。

さらに、各クラブとも少なからぬ経済的損失を招いているのだから、移籍金に上限を設定してもいいだろう。このご時世に数百億円を求めた場合、全世界から糾弾される。フットボールに関わるすべての人間が、常識にのっとって行動しなければならない。

ミッドウィークに、週末にフットボールをエンジョイする〈当たり前の日常〉が壊されてしまった。各所で懸命な対策を講じているが、まだ収束に向かう気配はない。しかし不安を煽ったり、責任論のみを追及したりしていても気持ちがすさんでいくだけだ。新型コロナウイルスを倒すために、いまこそ世界が一致団結しなくてはならない。

ボルシア・ドルトムントはCEO、監督、コーチ、選手が「給与の一部を医療対策に充てる」と発表した。ライプツィヒのティモ・ヴェルナーとバイエルン・ミュンヘンのジョシュア・キミッヒが、基金『We Kick Corona』を設立。1000万ユーロ(約1億2000万円)を寄付した。

また、バイエルン、ドルトムント、レヴァークーゼン、ライプツィヒの4チームは、リーグ中断によって財政難に陥ったブンデスリーガ1、2部の24チームに2000万ユーロ(約24億円)を提供するようだ。

そしてマンチェスター・ユナイテッド、シティ、チェルシー、レアル・マドリーも医療従事者を支援し、新型コロナウイルスの感染で深刻なダメージを負ったイタリアでは、ファビオ・カンナヴァーロ、ロベルト・マンチーニ、シルヴィオ・ベルルスコーニといったビッグネームが、現状克服のために私財を投じている。

彼らの尽力が、いつか必ず実を結ぶことを──。

文:粕谷秀樹