今、バスケットボールは!

オンライン上とはいえ、久しぶりの再会に自然と笑みがこぼれる


新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、シーズン途中での終了となってしまったプロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」。選手たちは、この困難を突破すべく、どのようなモチベーションで日々を過ごしているのか?B.LEAGUEを代表する二人の選手に、オンライン上で対談をしてもらった。19/20シーズンはベスト3P成功率賞を獲得し、KJの愛称を持つ京都ハンナリーズ所属・松井啓十郎(まつい けいじゅうろう)選手。そして、2013年より日本代表に名を連ねる、川崎ブレイブサンダース所属・辻 直人(つじ なおと)選手だ。B.LEAGUE公認アナリストの佐々木クリス氏が、バスケットボールの今、そしてこれからを聞いた。


自宅のリビングから対談

自宅のリビングからの出演となった辻選手。家族に取材風景を見られるのは違った緊張感があると話してくれた。


佐々木:KJこと松井選手、今はどちらに?

松井(以下KJ):今は京都の自宅にいます。ワークルーム、PCが置いてある部屋にいます。ここではネットサーフィンとか、人間をだめにするようなクッションがあるんですけれど、そこで動画を見たり、試合を見たりしています。

辻:僕は自宅のリビングにいます、すぐそこにはみんながいて、違った緊張感がありますので、自分を高めていこうかなと。。。何言ってんですかね(笑)。こういう取材の所を家族に見られるのはなかなかないですからね。

佐々木:ライバル関係の二人ですが、普段から二人は話しますか?

KJ:うーん、試合の時とかは辻が後輩らしくしてくれるので、、、

辻:そうそう(笑)

KJ:他の先輩に挨拶行くときに、僕に挨拶してみたいな。

辻:いやいや、結構長くしゃべるじゃないですか。話しやすいですもん、包み隠さず話す仲ですもん。

KJ:バスケットのこと以外もね!


「頑張ろう!」から、自分を奮い立たせなくてはならない状態に

KJ:僕だけじゃなく、世界中困っていると思いますが、あれがやりたい、ここに行きたいとかあっても、いまこの状況だと考えてしまう。そういうところの不自由さが、ぼくだけでなく、いろんな人たちが持っているのかなと。今までだったら、気軽にできたことが出来ない。その中で、自分たちがやれることを探しているところなのかなと思っています。

辻:僕もプライベートで言えば、ずーっと家にいるわけなので、、、チームで体育館もトレーニングルームも使えないので、外出はコンビニやスーパーのみ。自宅でトレーニングを続けるしかない状況。これまで、そういう生活をしたことが無かった。最初は「頑張ろう!」だったのだけれど、徐々に自分を奮い立たせないと動けなくなってきた。逆にクリスさんは?

佐々木:お二人がシーズン途中で終わってしまったように、私も途中で終わってしまったので、仕事が減ってしまうという経済的なダメージがあります。そして、例えば、今すぐ会いたいのに会えない。あまりパーソナルなことは言ってこなかったのですけれど、実は息子が2月に生まれて、皆にあわせたいけどそれが出来ない。乗り越えなくちゃいけないけど、不安や人と人とのつながりを、どう乗り越えていくかを考えています。

辻:なんか、イヤですよね。(友人とか)好きな人を不安な目で見ないといけないのはイヤですよね。そういうかかわり方をしたくはないのですが、このご時世と言うか、イヤですよね。

佐々木:チームメイトとのハイ5とか、そういうのが出来ない。KJも考える?

KJ:チームメイトもそうですが、小さい子見かけたときに、サインしたりしたいんですけれど、こういう状況だから接触できないので、子供の落ち込んだ表情が申し訳なくって。。。また、外国人選手が母国に帰るにあたって、事前に食事したいとかあるけれどできない、寂しいなと思います。

無観客試合で気がついたこと

無観客試合でも映像で見てくれているファンにしっかりと届けたいと話してくれた松井選手。


佐々木:B.LEAGUEの中止についてどうですか?

辻:NBAが中断になったので、Bリーグも中断になるかもと思っていたから、びっくりではないけれど、シーズン通して優勝狙えるチームだったので、そういうところでは残念や口惜しさがあったのですけれど、仕方ないなと。

KJ:僕たちも土曜日、最初の1試合目無観客でやってみようとなって、もちろん試合をやるからには100%集中して、お客さんいるいない関係なく、映像の向こう側で見ている方々に届けと。ただ、ハーフタイムに川崎と北海道の試合が中止になったと聞いて、両チームともこのままやっていいのかと不安はありました。(中止を決めた)Bリーグの判断は我々のことを考えてくれた、苦渋の決断なのかなと思いました。


人生は進んでいく、前を向いてほしい

佐々木:インターハイや全中(全国中学校体育会)の中止が発表されて、どう感じますか?

辻 :本当に一言で表せない。残念で仕方ない。インターハイで引退をとなる選手にとっては大きなこと。ただ、頑張ってきた仲間はかけがえのない仲間たち。僕は良い仲間に出会えました。だから、目の前の目標は無くなってしまったかもしれないけど、次の所で必ず目標を立ててもらって、努力してもらえば、良い仲間に出会えると思うし、それは個人競技の方も同じだと思います。
残念な気持ちはわかる、でもそこであきらめずに、人生は進んでいくものですから、前を向いてやって欲しい。

佐々木:大きな青春の一部。そこで出会った人、僕も一生の宝の仲間ができたなと。僕はインターハイなんか出てないし、東京都予選2回戦で負けたんですけれど、負けた試合は3回くらいオフェンスチャージして負けたんですけれど、その時の仲間は今も近くにいるなと。今回は大会が無くなるということで、くやしいけれど、次にぶつける原動力にしてほしい。KJはどう?

KJ:一生に一度しかない、高校生3年生のインターハイ、(中学3年生の)全中、そこに向けて練習してきた選手もいっぱいいますし、じゃあその大会が無くなっちゃったときにどうしようと。違う目標を目指していけば、例えばBリーグの選手になるのであれば、その大会だけで全部が決まるわけではないので。もちろんインターハイで活躍すればいろんな大学に推薦で入れたりとかするかもしれないけれど、それがあるかないかでその先の人生が決まるわけではないので。これは今、日本国内だけでなく世界全体で起きているので、モチベーションを違うところに持って目標に向かっていけば、前に進めるんじゃないかと思います。

佐々木:バスケができるって当たり前じゃないよねって改めて思うよね!次のB.LEAGUEのシーズン、ハングリーな皆さんが楽しみです。

前編はここまで、後編では、今どのように毎日をすごしているかを語り合います。

文:J SPORTS 杉山友輝