2020年冬に開催予定だったコミックマーケットC99。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、7月12日に開催延期が発表された。参加を予定していた人たちは肩を落としただろう。

しかし、もし開催されるとしたらどんな風になっていただろう。

当然、感染症対策はとらないといけないため、ソーシャルディスタンスは保持したいところ。毎回、入場待機列の長さが話題となるコミケだが、2メートルずつ間隔をあけて並ぶとどうなるか...。

そんな検証をした、あるツイッターユーザーの投稿が話題になっている。

2メートル間隔で並ぶと...(画像はshao@shao1555さん提供、編集部でトリミング)

入場者数を18万人と仮定し、会場である東京ビッグサイト(東京都江東区)から2メートル間隔をあけて並ぶ。その距離はなんと360キロ。Googleマップの経路検索(徒歩)だと、最後尾は355キロ離れた名古屋駅に到達する。

ソーシャルディスタンスを守ると、まさか名古屋まで行ってしまうとは......。ここまでくると、もはや健康な状態で会場にたどり着くことができるかが不安になるレベルだ。

話題になった投稿は中国在住のツイッターユーザー・shao(@shao1555)さんが7月12日に投稿、14日夜時点で3万6000件超のいいねが付いている。

ツイートに対しては、

「東海道コミケですね...!冬に箱根の山の上とかに配置されたらと思うと」
「もう宿場町でジャンル分けしてもいいレベルですね」
「夜並ぶの禁止なんで毎日解散になるからもっとかかります」
「もはや参勤交代」

といった声が寄せられている。江戸に向かって列をなすオタクの行列...ちょっと見てみたい気もする。

消費カロリーは「タピオカミルクティー40杯分」

いったいなぜ、今回のような投稿をしたのか。Jタウンネットは14日、投稿者のshaoさんに詳しい話を聞いた。

shaoさんは小学校6年生からコミケに参加。中国在住のため最近の参加は難しいというが、これまでには一般参加、サークル参加、スタッフ参加あわせて30回以上参加してきた。

冬コミケの中止については、

「あらゆる表現を受け入れ、交流を深めるための場として非常にユニークなものであり、これまでのように開催できないことは非常に残念であります。しかしエアコミケのように、オンラインを活用した新たな取り組みであったり、大阪のコミックシティのように感染症予防対策を講じた上での開催であったりと、表現の場を絶やさない取り組みが広く続けられていることは非常に心強く思います」

とのこと。話題になった投稿は、5月のコミケ中止と今回の開催延期を受け、いかにコミケが大規模なイベントであるかをシミュレーションしたという。

コミケの来場者にソーシャルディスタンスを確保できるよう、18万人の来場者を2mの間隔を空けて1列に並べると最後尾は名古屋駅(360km)に到達してしまう。。。最後尾から休まずに歩き続けて3日かかります。 pic.twitter.com/TmCSgBvvBy
- shao (@shao1555) July 12, 2020

shaoさんは並んだ時の距離以外にも、消費カロリーやカロリーのタピオカミルクティー換算などを元ツイートに自らリプライする形で投稿。後ほどshaoさんに聞いた話も踏まえると、以下の通りとなっている。

・2列×2方向で組んだ場合、西の最後尾は小田原、東の最後尾は木更津あたり
・ビッグサイトから名古屋まで74時間歩く場合の消費カロリー:1万6280キロカロリー
・タピオカミルクティー換算で40杯分
・体脂肪2.26キロ燃やすことができる
(一部編集)

来場者数はコミックマーケット準備会が発表する「コミックマーケット97アフターレポート」から1日あたりの最小入場者数である18万人を採用。カロリーは国立健康・栄養研究所の公式サイトに掲載される「改訂版 身体活動のメッツ(METs)表」を元に計算した。標高差は考慮していないため実際の消費カロリーはこれを上回る可能性があるという。

体脂肪の減少量についてはカロリーから、タピオカミルクティーは兵庫おでかけプラス(神戸新聞NEXT)の記事に掲載されていた、神戸女子大学の木村万里子准教授による調査「Mサイズカップ(約450ミリリットル)で400キロカロリー前後」を元に計算した。

必要なインフラも計算

そして「夜は並ぶこと禁止」というユーザーからの指摘を受け、shaoさんは、

「日中だけ歩き、夜は宿場町で寝る参勤交代スタイルだと2週間弱かかる計算です」

と投稿。参加者18万人が12日かけて歩くことを想定し、

・水:給水車 2300台
・食糧:野外炊事自動車 420台 (陸上自衛隊野外炊具1号)
・スマホ充電:電源車(60キロボルトアンペア)80台
・トイレ処理:バキューム車1000台

と必要なインフラを計算し、ツイッターへ投稿した。給水車は同じ車輌を毎日使うと考えれば190台、野外炊事自動車は420台、バキューム車82台で済むという。

(画像はshao@shao1555さん提供)

何度もコミケに参加してきたというshaoさん。もし2メートルの間隔をあけて並ぶコミケが開催されるとしたら参加したいと思うか、聞いてみると、

「360キロの行軍は明らかに人道的ではないので、参加を全力で見送ります(笑)ツイッターで多くの人からいただいた『参勤交代』というイメージはイベントの新たな形として興味深く感じました。
東海道沿線に宿場町を模したイベント会場を分散して設置し、お遍路のように巡りながら新たな作品と交流できるイベントは一極集中を回避する上でも、また地方創生といった観点からも検討できると思います」

会場をビッグサイトに限定せず、複数地域に会場を設けて巡る――人が分散されるだけでなくそれぞれの土地で経済効果が期待され、なかなか悪くない提案だ。突拍子もない思いつきに見えて、ウイルスと共存していく上では必要になってくる考え方なのかもしれない。