NECはTwitterの災害に関するツイートなどの情報をリアルタイムで解析・可視化する「高度自然言語処理プラットフォーム」を7月から提供する。価格は、クラウドサービス利用の場合1アカウント初期費用20万円と月額利用料5万円〜。

SNSの災害情報を整理・分析し、可視化する

 NECの第一都市インフラプラットフォーム事業部 松尾 達宏氏によると、同社はこれまでも航空管制システムや衛星通信、交通管制システムなどのITとネットワーク技術を融合した「安心・安全・快適」な社会の実現に貢献してきたとする。

 同事業部新事業推進グループの伊熊 結以氏は、今回のプラットフォームは、防災や消防のインフラをICT化し、より安心安全な日本にするため、見えにくかった情報を見えやすいかたちにするものだと語る。これにより、住民に役立つ情報をいち早く展開できる。

 自然災害が発生した際、公的機関から正式に発信される情報は、質や量共に限定的で、災害時の初動対応に必要な情報を広く集める仕組みが必要だという。

 近年、市民のSNSの投稿で災害情報を収集している自治体などが増えつつあるが、SNSの膨大な情報から取捨選択するのが難しく、人手も限られるのが現状となっている。また、SNSの情報が正確なものなのか判断する必要もあるという。

 今回のプラットフォームでは、Twitterの投稿をAIが仕分けて整理することで、自治体の担当者が欲しい情報をいち早く探すことができる。

 自然言語処理エンジンは情報通信研究機構(NICT)が開発した対災害SNS情報分析システムDISAANAと災害状況要約システムD-SUMMを拡張したものを搭載する。防災関係の語彙については、総務省の2017年度〜2019年度「IoT/BD/AI 情報通信プラットフォーム」社会実装推進事業において、自治体など15団体と22回の実証実験結果行い、防災関係の語彙辞書を整備した。

 拾い上げた情報は、地図上に分布を表示できる。担当者は、地図に表示される情報の数と色で、早期に状況把握できるとしている。

 また、同じ地域で矛盾する投稿があった場合に担当者に知らせる機能を搭載。例えば同地域で停電している投稿と停電していないという投稿が同じ時間帯で投稿があった場合、矛盾投稿として画面に表示する。

 検知可能な情報は、地震や大雨などの災害時や道路トラブル、ライフラインなど。交通機関のトラブルも検知できる。災害時以外でも、事件事故や天候不順、道路の渋滞、イベント会場での喧嘩や窃盗などのトラブルの検知も行える。

 同プラットフォームは、自治体や官公庁などの公的機関のほか、一般企業も採用できる。ブラウザから確認できるGUI利用サービスと、ユーザー任意のシステムに情報を配信する解析結果データ配信サービスがある。

 GUI利用サービスでは、別途システムをユーザー側で構築する必要なく、ブラウザを搭載するパソコンやスマートフォンで確認できる。利用料は1アカウントにつき初期費用が20万円、月額利用料が5万円。

Twitter公認のプラットフォーム

 Twitterジャパンのアジア地域アライアンス事業リード 後藤 和枝氏によると、現在では著名人や識者もTwitterを利用しており、行政と市民がTwitterを通じて、災害情報を共有する場面もあるという。Twitterがもつ公共性とリアルタイム性などを防災・減災の視点で役立ててもらいたいと語る。

 また、Twitterのコンプライアンスについても語った。

 Twitterの全量データ(Twitter上の全てのツイートなどの情報)は、オフィシャルパートナーとして契約した一部の企業に限られるという。オフィシャルパートナーには、「削除されたツイートやアカウントをパートナーのシステムから消去してもらう」などのポリシーの遵守を求めており、状況はTwitter社で管理しているという。

 現在日本では、オフィシャルパートナーはNTTデータのみといい、今回のプラットフォームもNTTデータがTwitter社とNECの間に入り、データの提供やNECのコンプライアンスの遵守などの管理を行う。

オフィシャルパートナーだから提供できる全量データ

 NTTデータのITサービス・ペイメント事業本部 伊東 大輔氏は、NTTデータが取得するTwitterデータの品質について語った。

 Twitterのツイートなどのデータは「Twitter API Platform」(以下API)を通じて、エコシステムパートナーに配信される。エコシステムパートナーは。APIからTwitterのすべての情報が提供され、その情報を分析しユーザーに提供しているという。

 このAPIには、無償で利用可能な「Standard API」とオフィシャルパートナー企業しか利用できないAPIがあるという。

 「Standard API」は取得回数の制限や利便性に劣るとする。また、「Standard API」で取得可能なデータは、全てのTwitterデータであると保証はしておらず、商用での利用は推奨していない。

 一方で、NTTデータが取得できるAPIは全量データが保証されているため、高品質なデータを提供できるという。

 また、オフィシャルパートナー以外の企業は、Twitterデータの再再販ができないため、解析システムを提供する企業と別にNTTデータとの契約が必要になったり、解析システムも限定されたTwitterデータでしか検証できない。

 今回のプラットフォームでは、NTTデータはオフィシャルパートナーであるため、ユーザーはシステム提供元のNECとだけ契約を結べばよく、全量データをサービスの提案や検証に利用できるとしている。