<食味に懸ける>山形米戦略’17(下)模索 検査方法変 更新たな壁

<食味に懸ける>山形米戦略’17(下)模索 検査方法変 更新たな壁

 2018年産からのコメの生産調整(減反)廃止を前に、山形県が食味の良さを前面に打ち出した産地イメージの構築を急いでいる。東北トップの高価格米「つや姫」の成功に裏打ちされたブランド戦略だ。しかし日本穀物検定協会の食味ランキングで、県産米の主力品種「はえぬき」の16年産は22年間維持してきた最高評価「特A」から「A」に転落、新品種「雪若丸」も「A」にとどまり、関係者は危機感を強める。東北の銘柄米の将来を占う山形のコメ戦略を追う。(山形総局・宮崎伸一)

 ◇ ◇ ◇

 「検査方法の変更がランキングに影響したのでは」
 山形県産の「はえぬき」と「雪若丸」(参考品種)が最高評価「特A」を逃した2016年産米食味ランキングの公表後、主催する日本穀物検定協会(穀検)には、問い合わせや指摘が山形県など複数の産地から相次いだ。

<まぜると悪影響>
 道府県名で産地が統一表示された銘柄について、穀検は代表的な1地区のコメを検査対象としてきたが、16年産から2地区のコメをまぜたものをサンプルとする方式に変更。山形県産の「はえぬき」「雪若丸」や宮城県産「ひとめぼれ」などが変更対象となった。
 不本意な結果を受け、山形県が16年産米を検査したところ、県産の「つや姫」「はえぬき」「雪若丸」はいずれも複数地区のコメをまぜると、食味官能評価が低下する傾向があることが分かった。
 「受験生が試験科目を受け入れざるを得ないのと同じように、われわれも検査方法に文句を言う資格はない」。県の担当者は悔しさをかみ殺すように語る。
 消費者や飲食店のコメ選びに大きな影響力を持つランキングが、検査方法次第で簡単に変わっては、産地はたまったものではない。
 変更理由について、穀検は「同じ道府県内でも気候や土壌が異なり、サンプル1点だけでは消費者に納得してもらえない。サンプル2点以上を使うことでより正確に評価できる」(業務グループ)と説明する。


<対策見つからず>
 だが、ブレンドすることで相乗的に食味が良くなったり、悪くなったりするのが穀物の特徴だ。専門誌「月刊食糧ジャーナル」の鶴田裕編集部長は「2種類のコメをまぜて食味が平均化されるほど単純ではない」と疑問視する。
 穀検によると、食味ランキングは穀検が認定した検査員が基準となるコシヒカリのブレンド米と比較して食味を5段階評価する。
 検査員は大半が研修を受けた穀検職員で、1銘柄につき100人が検査に当たる。あくまで官能試験のため、食味を数値化したデータはないという。
 「穀検は審査データを積極的に公表すべきだ」と訴えるのはコメ卸大手「木徳神糧」(東京)の三沢正博専務。自社の独自データによると、16年産はえぬきは、例年と比べて遜色はなかった。三沢専務は「評価を下げた原因が分からないと、産地側も対策の取りようがない」と指摘する。
 一方、東京・JR錦糸町駅近くのコメ専門店「亀太商店」店主の市野沢利明さん(58)は「食味ランキングは消費者が銘柄を知るきっかけにはなっているが、近年は各産地ともレベルが上がっている。特Aだから売れるというわけではない」と打ち明ける。
 人間の舌が決める、コメの食味の奥深さと曖昧さ。ブランド米作りに「傾向と対策」はない。

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