<食味に懸ける>山形米戦略’17(中)奪還 特A定着へ 生産者選抜

<食味に懸ける>山形米戦略’17(中)奪還 特A定着へ 生産者選抜

 2018年産からのコメの生産調整(減反)廃止を前に、山形県が食味の良さを前面に打ち出した産地イメージの構築を急いでいる。東北トップの高価格米「つや姫」の成功に裏打ちされたブランド戦略だ。しかし日本穀物検定協会の食味ランキングで、県産米の主力品種「はえぬき」の16年産は22年間維持してきた最高評価「特A」から「A」に転落、新品種「雪若丸」も「A」にとどまり、関係者は危機感を強める。東北の銘柄米の将来を占う山形のコメ戦略を追う。(山形総局・宮崎伸一)

 ◇ ◇ ◇

 「『はえぬき』は収入の基盤。確かな品種で品質の良いコメを作りたい」
 長井市時庭の農業多田野清朔さん(70)は、20年以上栽培を続ける山形県産米の主力品種「はえぬき」に厚い信頼を寄せる。今年も水田9ヘクタールのうち4ヘクタールに「はえぬき」を植えた。

<トップシェアに>
 「はえぬき」は1991年の導入時から県と生産者団体が一体となって「山形米づくり運動」を展開。「量より食味」を合言葉に売れるコメ作りを徹底した点で画期的だった。
 山形県産「はえぬき」は現在、中食・外食向け販売量で全国トップシェアの9%を占める。味の良さに加え、仕入れやすい供給量と手頃な価格で、特に大手コンビニチェーンの弁当やおにぎりの材料に欠かせない存在となっている。
 「食味が良い上に炊くことで量が増す割合『炊飯増加率』が高く、業務用に適している」。コメ専門誌「月刊食糧ジャーナル」の鶴田裕編集部長が解説する。
 しかし、日本穀物検定協会(穀検)の16年産食味ランキングで、県産はえぬきは22年連続で守ってきた最高評価「特A」から「A」に転落した。
 今のところ、生産調整(減反)によって業務用米の供給が引き締められているため影響は出ていないが、18年産からの生産調整廃止でコメ余りが顕在化すれば確実に価格の下振れ圧力となる。
 山形県が描くコメ戦略の最終目標は「つや姫」「雪若丸」「はえぬき」をそろって「特A」に定着させ、産地、銘柄の双方で「コメどころ山形」を不動のブランドとすることだ。
 デビュー8年目の「つや姫」は、魚沼産コシヒカリ(新潟)に次ぐトップブランドに成長した。18年産から本格デビューする「雪若丸」も食味重視の栽培マニュアルを整備し、生産者への指導を強化中だ。
 「はえぬき」は今も県内作付面積の6割を占める主力品種。県農林水産部の沼沢好徳次長は「2年連続で特Aを逃すようなことがあってはならない」と力を込める。

<圃場など非公表>
 県は今春、技術力の高いはえぬきの生産者を選抜。その名も「特A栽培モデル圃場」を12カ所に新設し、穀検による食味ランキング検定用のサンプル栽培を委託した。
 「生産者の氏名や圃場の場所は公表を控えたい」
 想定外のトラブルに備え、担当者はマスコミの取材にも神経をとがらせる。
 県は近く「特A獲得連絡会議」を立ち上げ、穀検の検査方法への対応策を本格的に検討する。
 「17年産はえぬきは栽培方法などを一から見直している。できることは全てやりきる」と県県産米ブランド推進課の卯月恒安主幹。新時代の「米づくり運動」で「はえぬき」の未来を切り開こうとしている。

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