<転機の米作り 秋田の産地は今>第2部 盛夏、伸びる穂(上)有機栽培雑草と闘う

<転機の米作り 秋田の産地は今>第2部 盛夏、伸びる穂(上)有機栽培雑草と闘う

 広い水田で無農薬栽培に取り組む大潟村の農家と、委託で栽培面積を広げてきた美郷町の農家。秋田県では田植え後の天候に恵まれ、稲は順調に出穂の時期を迎えた。第2部は、夏の作業に汗をかくそれぞれの農家の姿を追った。
(秋田総局・渡辺晋輔、鈴木俊平)

◎大潟村 米専業農家黒瀬友基さん(40)

<パート高齢化>
 田植えから半月が過ぎた6月中旬、黒瀬友基さん(40)の1枚2.2ヘクタールの水田はマガモが群れで行き交っていた。水田4枚に800羽が放たれ、絶えず土をかき混ぜて雑草の成長を抑える。
 「あきたこまち」を栽培する15ヘクタールのうち、8.8ヘクタールでは農薬や化学肥料を使っていない。このため、ヒエやコナギなどの雑草が伸びる7月中旬までが気の抜けない時期になる。
 除草作業で頼るのが、近隣の町から長年来ている60〜70代のパートの女性たち。中腰で水田の表面を手でかき混ぜ、大きな雑草は土に埋める体力的にきつい仕事だ。
 現在は1日5人程度だが担い手の高齢化で減少しており、補う目的でカモを導入した。黒瀬さんも6月は半月ほど小型エンジンが付いた歩行式の除草機具で水田を1日15往復以上、4キロ近く歩いた。
 黒瀬さんが農業を継いだ2007年は、1日20人ほどのパートがいた。「減り方が加速している。5年後は誰も来なくなるかもしれない」と危機感を抱く。

<労力見合わず>
 有機栽培の国内認証制度「有機JAS規格」の稲を育てる水田面積は、秋田県が17年で392ヘクタールと全国1位。このうち大潟村が330ヘクタールと突出し、黒瀬さんも化学肥料などを使っていない8.8ヘクタールで認証を取得している。
 一方、県全体では09年の有機JASの水田は511ヘクタール。減少傾向にあることに、県水田総合利用課は「労力の割に価格的なメリットが少ないためでは」とみる。
 黒瀬さんはコメを卸売会社のほか、全国の消費者に直接販売している。農機具や燃料、有機肥料など生産コストの上昇が経営を圧迫するが、販売価格は据え置いたままだ。「正直厳しいが、コメ全体の需要が減る中で値上げはしづらい」と漏らした。

<「抑草」を試行>
 加えて喫緊の課題になるのが、今後の除草のあり方だ。「無農薬栽培だと、現在の面積がパートを加えた家族経営で担える最大だろう」。パートに頼れなくなる将来を見据える。
 肥料のまき方を変えたり、土の表面を均一にしたりして雑草を生えさせない「抑草」の考えを取り入れてきた。
 「効率的に機械を使うなど、組み合わせは一つではない。この土地に合った方法を試すしかない」と試行錯誤を繰り返す。

[有機JAS規格]日本農林規格(JAS)の新たな分類として制度化され、2001年にスタートした。登録認証機関から認定を受けた生産者が有機JASマークを使用できる。稲や野菜では、化学肥料や農薬を2年以上使わない水田や畑で栽培された農産物が対象になる。


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