東北大大学院理学研究科の須賀利雄教授(海洋物理学)の研究グループは、温暖化に伴い、東北沖を含む世界の海洋の8割以上で表層部と深層部の密度差が拡大し、植物プランクトンの成長など海洋生態系の基盤に深刻な影響を及ぼしている可能性を明らかにした。漁獲量減少につながる恐れがあり「継続的な予測と対策が急務だ」としている。
 全世界の研究機関のデータベースを基に、地球上の全海域で1960年代以降の密度の変化を初めて系統的に解析した。
 その結果、温暖化による海水温の上昇に伴い、海洋の8割以上で海面から100メートル未満の海水の密度が低下して軽くなり、200メートルまでの深層部との重さの差が拡大。部分的な解析にとどまっていた従来のデータと比較し、密度差は最大1.5倍に及んだ。
 海洋生態系は、海水が適度な密度差を保つことで、深層部から表層部に栄養が供給され、植物プランクトンが光合成を行う循環があった。バランスが崩れることで、魚介類の成育が難しくなる恐れがある。
 須賀教授は「海水温の上昇による魚の分布変化や不漁は指摘されてきたが、全世界の海域で水産資源の生育基盤が弱まっている可能性が裏付けられた」と解説。漁業など地域産業への影響は大きく、「予測に基づく対策と温暖化の緩和策が求められる」と指摘している。