新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大に伴い、大学生らの留学の受け入れや派遣が中止・延期となる事態が続いている。年間延べ5000人以上の学生が海外と行き来する東北大は、急きょ帰国した学生らの住まい確保などの支援を急ぐ。海外と連携したプログラムは多く、若手研究者育成への影響も懸念される。

■「先が見通せず」

 「覚悟していたが、まずは驚いた。先が見通せず、落ち着かない」。米国への渡航が延期となった東北大大学院理学研究科の高橋直也さん(27)は戸惑う。
 地球温暖化に関わる気候物理学の研究で学位を取得し、4月から先端のハワイ大で博士研究員として働く予定だったが19日朝、現地の教授から2カ月延期の連絡を受けた。感染拡大に伴う米政府の方針だという。
 仙台市内の自宅は既に引き払い、ホテル暮らしをしながら住まいを探す。「日本でできる研究を続けるしかないが、延期が長引かないか心配だ」と話す。
 留学中断を余儀なくされた大学院生もいる。理学研究科の石川歩さん(25)は、東北大が海外の大学と連携し研究者養成を図る「国際共同大学院プログラム」に参加し、イタリア・フィレンツェ大に昨年11月から1年間の予定で留学。感染拡大に伴う措置で17日に帰国し、茨城県内の実家で2週間の自宅待機を続ける。
 「地震・火山研究が盛んなイタリアで火山噴火の仕組みを研究し、軌道に乗った時期だっただけに残念だ」と話す石川さん。自分が感染源になってしまったら、との不安もあるという。

■「研究にも遅れ」

 東北大によると、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外への留学を予定していた学生約100人が中止を余儀なくされた上、既に留学中だった100人程度が日程を中断・短縮して帰国する事態となった。
 留学生受け入れへの影響も大きく、予定していた200人以上が、延期や中止に至った。理学研究科で学ぶ中国人留学生の王童さん(26)は「近い分野に取り組む中国出身の留学生が足止め状態となり、残念だ」と肩を落とす。
 自身も、春節(旧正月)で山東省に帰省していた1月、現地で感染者が発生し、地元政府の指示で2週間、実家で待機。2月中旬の再来日後も、大学の方針で2週間の自宅待機となった。「2カ月近く教授らと直接議論できず、研究にも遅れが出てしまった。終息を願うばかりだ」と話す。
 大学側も支援に乗り出している。「留学を中断して帰国した学生には、学生寮の入居などの相談に応じる」(教育・学生支援部)とし、単位認定などでも不利益を受けないように対応を急ぐ。担当者は「世界的な感染状況の推移を注視して、学生や教職員の安全確保に努める」としている。