「生きた証し」思いを福祉に 横須賀市に遺贈4400万円

 昨年3月にこの世を去った横須賀市在住の故・柴崎ミチ江さん=享年(92)=の遺言に従い、遺族が市に約4400万円を遺贈した。一部を寄付された市内の児童養護施設は、浄財で遊具を購入。施設を訪れたミチ江さんの孫は、大喜びで遊ぶ子どもたちの姿に目を細め、「祖母の生きた証しが残せて良かった」と喜んだ。

 ミチ江さんは横浜市出身。結婚後、夫の経営する運送会社で、監査役を務めた。晩年は体が不自由になり、介護ヘルパーの手助けが必要になった。昨年3月、92年の生涯に幕を閉じた。亡き後、遺族がミチ江さんの遺言書を確認すると、「福祉のために、貯金の一部を寄付してほしい」と書かれていた。

 「昔からよく、『弱い立場の人たちの役に立ちたい』と口にしていた」と孫の博さん(40)。祖母の思いの根っこに何があったのか。博さんには思い当たることが一つあった。

 小さいころ、戦時中の暮らしぶりについて、祖母に尋ねた。その時、ミチ江さんは銃後で苦しむ女性や子どもたちの様子を語り、「犠牲になるのは、いつも弱い立場の人」と孫に言って聞かせた。博さんは「福祉に強い思い入れをみせたのは、きっと戦争体験が影響しているのではないかと思う」と推察する。

 祖母の意向に沿い、博さんは昨年9月、横須賀市に約4400万円を遺贈。市とも相談し、うち500万円ずつを、市内にある児童養護施設「春光学園」(同市小矢部)と、「しらかば子どもの家」(同市長瀬)に寄付することにした。市は残りを福祉基金に積み立てた。

 今月14日。博さんは児童養護施設にそれぞれ足を運んだ。寄付金で、春光学園は滑り台などの遊具や送迎用の軽乗用車を購入、しらかば子どもの家は門扉などを新調した。博さんは「祖母の思いが形になり、喜びもひとしお」と笑顔。子どもたちから贈られた感謝のメッセージが書かれた寄せ書きは、子ども好きだった祖母の仏前に供えた。

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