「これが現在の電力利用状況です」

 太陽光パネル計90枚を屋上に設置した「ドレッセ横浜十日市場」(全311戸)。分譲を進める東急(東京都)などによると、発電した電気は蓄電池にためて災害時に備えつつ、共用部の照明や空調に充てている。

 生活に役立つ大型設備の導入は、販売価格が高騰する中でさらなるコスト増につながりかねない。だが大型マンションで「共有(シェア)」すれば、入居者はわずかな負担で恩恵にあずかれる。

 海老名駅から徒歩5分で分譲中の「グレーシアタワーズ海老名イースト棟」(239戸)。駐車場の一角に置かれた乗用車1台を、入居者のおよそ半数でシェアしている。

 相鉄不動産(横浜市西区)によると、運営は提携先の企業が担い、委託料はマンションの管理費で賄う。利用時の負担は時間と距離に応じた金額だけだ。

 「『所有しない』割安感に背中を押され、入居を機に車を手放した方もいる」と販売担当者。読み取り機に免許証をかざすだけで解錠でき、キーの受け渡しが不要な手軽さも好評という。

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 マンション駐車場の設置台数は開発業者にとって悩みの種だ。不足も余剰も避けなければならない。

 その点、カーシェアリングは応用が利く。駐車場の区画が足りなければ共通の足に、空きがあれば入居者以外にサービスを開放して収入源にもできる。電気自動車(EV)を導入すれば災害時に非常用電源の役割を果たす。「費用と機能の両面で好材料が多い」と各社は太鼓判を押す。

 半面、その機能を持たない新築マンションも目立つ。なぜなのか。

 「ユーザーが一部に偏り、他の入居者から苦情が寄せられた」

 あるデベロッパーの担当者が打ち明ける。全世帯が負担する管理費の使途にはそぐわないとの意見が相次ぎ、管理組合が紛糾したという。

 カーシェアの普及も大きい。物件近くに利用可能な時間貸し駐車場があれば、あえて敷地内で展開する意義は薄れる。マンション購入希望者への訴求力が以前ほどない、との指摘も聞かれる。

 一時期は「必須」とされたサービスだが、現在は物件の特性を踏まえた厳選が進んでいる。

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 とはいえ、シェアリングの概念自体は広がりを見せている。

 代表格は「自転車」だ。車ほどコストや維持管理の手間が掛からない。特に電動アシスト付きは、主要顧客であるファミリー層やシニアの支持を集める。

 利用頻度が限られるアイテムのシェアも増えてきた。背景には、販売価格の抑制を目的とした部屋面積の狭小化がある。

 かさばるアウトドアグッズを用意したのは、三井不動産レジデンシャル(東京都)が分譲中の「パークホームズ横濱星川」(172戸)。テント一式にテーブルや椅子、クーラーボックスなどを貸し出す。海外メーカー製の高圧洗浄機や知育玩具もそろえた。

 京浜急行電鉄(横浜市西区)はスタートアップ企業と連携して「傘」をシェアする。来春に入居が始まる県内2物件と各最寄り駅に専用の傘立てを設置。急な雨に降られた帰宅時や、外出時にエントランスで降雨に気付いた場面での利用を想定する。1時間以内に返却すれば無料をうたう。

 「割安に賢く分け合う」発想が、最新のマンションには欠かせなくなっている。