新型コロナウイルス感染拡大の影響が、神奈川県内の主要観光地を直撃している。噴火警戒レベル引き上げや台風19号による鉄道寸断で打撃を受けてきた箱根は、ウイルス禍で外国人観光客が激減するなど新たな苦境に直面。「いつになったら平常の箱根に戻ってくれるのか」。関係者は終息が見えない脅威への不安を隠せずにいる。

◆来てくれるお客さん大切に

 「外国人の団体客が軒並みキャンセルし、個人客もほとんどいない」。大涌谷の名物「黒たまご」を売る土産物販売店の店員は、「売り上げ的に非常に厳しい状況」とため息を漏らす。

 春の観光シーズンにもかかわらず、中国や韓国をはじめとする外国人が記念撮影する姿はほとんど見られず、富士山にまつわる日本のみやげ物などが売れることもない。長期休暇の学生たちは訪れるものの、消費額の多い外国人客の激減が大きな痛手という。

 大涌谷と桃源台を結ぶ「箱根ロープウェイ」も1、2月の利用者数がともに昨年に比べ約22%減少した。背景には、昨秋の台風による土砂崩れで橋脚が流失するなどした箱根登山鉄道の運休に加え、ロープウエー内に利用客が密集することへの懸念があるとみる。

 感染拡大を受けた自粛ムードは、町内のさまざまな観光産業に深刻な影響をもたらしている。

 「休日の客数はいつもの半分くらいに落ち込んだ」と話すのは、同町湯本にある飲食店の女性従業員。来店客には入店時のアルコール消毒を求めており、感染防止策の徹底で不安解消に努めている。

 一方、宿泊施設も期間限定の格安プランを打ち出すなど、宿泊客の減少を抑えるための対応に追われる。強羅にあるホテルは事前予約した宿泊客への割引を検討しているといい、担当者は「稼働率は3、4割といったところ。早く回復してほしいが…」と不安を口にし、続けた。「こういうときに来てくれるお客さんを大切にしたい」