これまでにも話題になっていたこのテーマが、コロナ危機により再燃している。果たしてプロサッカー選手やその代理人らに対して、そのサラリーの上限が設定されるべきか、否か。ドイツサッカーリーグ機構クリスチャン・ザイファート氏は明確な立場を示した。

 ザイファート代表は確かに法的ハードルは今も尚あるとしながらも、将来的には選手やその代理人のサラリーの上限を設定する取り組みを希望しているという。特にこのテーマは最近、特に再燃しているものだが「マネジメントのサラリーに上限を設定する事ができるのであれば、選手やその代理人のサラリーにも上限を設定できなくてはならないものだろう」と、フランクフルター・アルゲマイネ紙に対してコメント。

 このような展開を望む背景には、昨今のプロサッカーにおける荒々しい急進的な変化によるものであり、それが今回のコロナ危機に直面したことで突如として失速。そもそもサッカー界ではその財政面における見方の甘さと、それゆえに変化を求める批判的な声も挙げられてきた。

  「近年のように成功を収めてきたこのシステムに対して、一石を投じるということは決して容易なことではない」と、同氏。彼の言う成功とは、「高騰するTV放映権料をはじめ、9割以上が埋められているスタジアムのチケット販売や、メディア参加を促すだけの安定した視聴率、そして絶え間なくスポンサーへの需要が増加していくこと」であり、「これほど多くのポジティブなフィードバックがありながら、危機的状況へと陥ってしまうのであれば、我々はこのことについて見直していく必要があるだろう。ただ意欲をもって、時間をかけながらプロサッカー界の変化について考えていくのであれば、この危機から我々はポジティブなものを生み出すことができるかもしれない」と、言葉を続けている。


 特にサラリーキャップ導入にあたっては、一般市民からの支持はその後押しとなることだろう。

 「現時点において最も批判の的となっているのは、スポーツとビジネスとの関連性にある」と、ザイファート氏。「選手のサラリー、恥ずかし気もなく誇示された富、移籍金、ネットからダウンロードできるような労働契約書にさえ数百万ユーロを手にするような代理人たちのことだ。それらが人々の神経を逆撫でしており、常識に沿った答えが必要なのだ。言葉よりも行動すること。これらは客観的にみて疑問符を投げかけなくてはならない展開であり、それらを見出し少なくとも制限をかけていくことや、修正していく事で解決をはからなくてはならない。象徴主義では何人たりとも救われることなどないのだ」

 だがそのためにはどういったアプローチができるだろうか?「サラリーの減額については、以前にカール=ハインツ・ルメニゲ代表が数年前に持っていたアイデアだ。」と説明。「彼はドイツサッカー界において誰よりも早く、この誤った展開を見抜いていたのかもしれない。すでに当時のUEFAプラティニ会長と共にEUへと赴き、サラリーキャップの話し合いを行っているのだ。しかしながらサラリーキャップ導入はEU法に抵触しているということ。そのため政治家サイドから新たなシグナルが発信された場合に、UEFAのチェフェリン会長はEUへと赴き、「移籍金やコンサルティング料の制限について話し合いに応じる」旨を記した書簡を渡すことになる。そのとき、同行者の一番手として私は名乗りを挙げるよ。」


 そう語ったザイファート氏は、現在ヨーロッパ全体においてこのような法律を制定し、そして施行するチャンスがあるともみている。「まず第一にEUから、サッカーという特定の産業に対して規制を行いたいというシグナルを送る必要がある。この問題はこれまで、EU法の枠組みでは法的強制力がないものとして長年取り扱われてきたテーマなのだ。しかしながら今回の危機が、むしろそのためのきっかけになるはず。例えばコンサルティング料については、欧州における幾つかの国では上限を設けてはいるものの、それ以外の国では特に設けられていないのが事実。これはEUによって規制される必要があり、そのためには政治家の側からの意思がなくてはならない」と、言葉を続けた。

 「ただそこには強い抵抗があることだろうし、ドイツの代理人たちもこのような計画が挙がればそれに対して、即座に対抗を見せ始めるはずだ。FIFAフットボール・ステークホルダー委員会のメンバーでもある私に対しては、すでにコンサルティング料の制限に賛成を入れた場合に個人訴訟を起こすとの脅迫も受けている。特にそれは非常に著名な代理人たちからによるものだよ」