神戸・橋桁落下1年 父失い3歳長男「パパは?」

神戸・橋桁落下1年 父失い3歳長男「パパは?」

 神戸市北区の新名神高速道路建設現場で橋桁が落下し、作業員10人が死傷した事故は、22日で丸1年を迎える。事故で亡くなった田中幸栄(ゆきひさ)さん=当時(37)=の父栄一さん(62)と母初見さん(60)、弟悠喜さん(33)=いずれも大阪市港区=が、神戸新聞社の取材に応じた。「防げた事故。声を上げられない幸栄のため、私たちが原因の究明と責任の所在を訴える」と力を込めた。(村上晃宏)

 幸栄さんは中学卒業後、とび職に。責任感が強く、行動力があり、周囲の信頼は厚かったという。建築業の経験がある栄一さんは「よく仕事について語り合った」と振り返る。将来、悠喜さんと一緒に自分たちの会社をつくる夢もあった。

 橋桁工事に携わって以降、月曜から土曜まで午前5時半に家を出て、午後9時に帰宅。日曜出勤もあり、初見さんは疲れた様子の幸栄さんを度々見かけた。それでも愚痴をこぼすことはなかった。

 事故の知らせを聞き、何度も携帯を鳴らしたがつながらない。「とにかく生きていて」と祈ったが、事故から約5時間後、幸栄さんの遺体が運び出された。

 子煩悩で娘1人と息子2人を溺愛していた幸栄さん。3歳の長男は事故後も帰りを待ち続け、玄関が開くたびに「パパ?」と駆け出した。今も遺影に「パパ」と呼び掛けるといい、初見さんは「父親の愛情を受けられない孫がかわいそう」と涙を浮かべた。

 事故後、元請けの横河ブリッジ(千葉県)の担当者は謝罪に訪れたが、西日本高速道路(大阪市)の社員から直接の謝罪はない。悠喜さんは「責任を逃れようとしている。遺族や負傷者の気持ちをみじんも考えていない」と憤る。

 22日午後4時半には事故現場で慰霊式が行われるが、3人とも欠席を決めた。「家族を大切にしていた幸栄は、もう戻ってこない」。家族はあの日に取り残されたままだ。


【新名神高速道路橋桁落下事故】2016年4月22日、神戸市北区の新名神高速道路の建設現場で、国道176号と有馬川をまたぐ橋桁(長さ約120メートル、重さ約1350トン)が落下。作業員2人が死亡、8人が重軽傷を負った。西日本高速道路による有識者の技術検討委員会は、橋桁の東側をつっていた設備が不均等に沈み、バランスが崩れたと指摘。兵庫県警が業務上過失致死傷容疑で捜査している。

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