歴史教科書の採択に批判はがき 全国10中学校に届く

歴史教科書の採択に批判はがき 全国10中学校に届く

 私立灘中学校(神戸市東灘区)が採択した歴史教科書を巡り、批判する内容のはがきが大量に送られた問題で、同じ教科書を使っている中学校のうち、少なくとも関西や関東の10校にも同様のはがきが届いていたことが9日、分かった。受け取った学校によると、差出人は別々だが、「反日教育をする目的はなんなのでしょうか」などとする文面は大半が同一だったといい、学校側は「一方的に送りつけられ、相手の姿が見えないことに不安を感じた」と話した。

 教科書は出版社「学び舎」(東京)が発行し、文部科学省の検定に合格した「ともに学ぶ人間の歴史」。同社によると、現役教員やOBらが執筆し、他社で記述がない慰安婦問題に触れる一方、この問題に対する現在の政府見解も取り上げている。全国で38校が採択したという。

 灘中の和田孫博校長によると、同校には採択決定後の2016年3月ごろからはがきが届き始め、6月ごろまで続いた。届いた200通以上のほとんどに同じ文面が印刷され、一部は手書きで「寄付金を取りやめる」などとあった。中には差出人が兵庫県外の自治体の首長や地方議員と同一名のものがあったほか、国有地で計画した小学校を巡り国の補助金を詐取した疑いで逮捕された森友学園前理事長の籠池泰典容疑者名のはがきもあった。

 和田校長は「教科書は教科の根幹で、私学では各学校の特色に応じたものを選ぶ。それに対して圧力がかかるのはいかがなものか」と話している。

 同じ教科書を使う全国の中学校に神戸新聞が取材したところ、少なくとも国立、私立の計10校が同様のはがきを受け取っていた。大半が既に処分し具体的な枚数は不明だが、多い学校では「1〜2カ月で300枚近く届いた。1日数十枚の束が届き、教育現場への組織的圧力だと感じた」とした。採用中止を求める抗議の内容やOBを名乗り「自分の力を使って(教科書を)変えさせる」などと記された手紙もあった。

 このうち関東の学校関係者は「いわれのない抗議のため静観したが、生徒を預かっているので不安もあった」。関西の関係者も「教科書採択でこうした圧力を受けたのは初めて。異様な風潮だ」と話した。

 和田校長は「地元の自民党国会議員や県議からの問い合わせの段階では、圧力とは思わなかったが、多くのはがきが来るようになり、教育への圧力ではと感じるようになった」と話した。


■政治学が専門で歴史教科書にも詳しい小南浩一・兵庫教育大教授の話

 自己責任などが強調される風潮の中で、不安になった個人が強い国家とダイレクトなつながりを求めているように感じる。そうした人々が結びつき、抗議はがきを送っているのではないか。歴史を修正しようとする動きの一環と思われるが、学び舎の教科書は子どもの視点に立ち「続きを読みたい」と思わせる内容となっている。検定に合格した教科書を採択しているにもかかわらず抗議するような行動は、教育の政治的中立性をおびやかす問題だ。

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