甲子園は随一の“居酒屋” 酒とビール「生」対決

甲子園は随一の“居酒屋” 酒とビール「生」対決

 7月下旬、甲子園球場であったプロ野球の阪神−DeNA戦。売り子の女性たちが観客席をせわしく行き来した。小さな背中で酒だる風のサーバータンクが揺れる。1人が歓声に負けじと声を上げた。「生原酒、いかがですかー」

 清酒大手の日本盛(兵庫県西宮市)が4月、「野球観戦には生ビール」の牙城に挑んだ。観客席での生原酒販売は創業128年の老舗も未踏の領域だった。同社幹部は当初、「ビジターの気概で灘の酒をアピールしたい」と不安ものぞかせたが、年5千リットルの販売目標は今のペースだと、1万リットル前後で着地する見通しという。

 搾りたてならではのフレッシュな口当たり。無ろ過で提供する生原酒は、生ビールとも異なる独特の爽快さで観戦客を捉えた。赤ら顔のファンのもとへ青の法被が駆け寄る。ビールと日本酒の「生対決」に、業界関係者が熱い視線を注ぐ。

     ◇     ◇

 西宮市の甲子園球場から北西へ約2キロ。浜風がそよぐ住宅地に、清酒メーカー日本盛の本社工場がある。

 今月3日の蔵出し作業では、生原酒10リットル入りのタンク30本がトレーラーに積み込まれた。近畿支店営業第1部の黒田浩彦さん(55)は「試合が盛り上がるほど日本酒も飲んでもらえる。直送の鮮度を存分に楽しんでほしい」と語った。

 同社は2015年、業界に先駆けてボトル缶(200ミリリットル)入りの生原酒を発売。ろ過して酵母を取り除く充●(じゅうてん)設備を約10億円で導入し、常温での全国流通を可能にした。一方、無ろ過の新鮮さを味わってもらおうと、13年には近くの阪急西宮北口駅構内に生原酒の量り売り店を開設。地元ならではの希少さを武器にファン拡大を模索していた。

 そこで着目したのが甲子園球場。関係者によると、場内の酒類販売量で群を抜くのがビールだ。人気カードの広島戦、巨人戦では1試合で2万杯を超える。業界で「国内随一の“居酒屋”」とささやかれる同球場とはいえ、生原酒が求められる場所なのか−。

 手探りの船出だったが、同社の杞憂(きゆう)に終わった。セ氏2〜3度の生原酒を、売り子が観客の目の前で180ミリリットル杯に注ぐ。1杯550円の価格設定も奏功し、1試合で700杯超を売る順調な滑り出しとなった。

 7月下旬のDeNA戦。1塁側内野席にいた男性会社員(58)=大阪市=は「阪神の劣勢でやけ酒、勝ったら祝杯。また来て飲むで!」と笑った。


(注)●は「土」の右に「眞」

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