湯の町、江戸期“幻”の謡曲「温泉寺」復活 兵庫・豊岡の謡曲グループが尽力

湯の町、江戸期“幻”の謡曲「温泉寺」復活 兵庫・豊岡の謡曲グループが尽力

 温泉寺(兵庫県豊岡市城崎町)を題材に江戸時代初めごろに作られたが、長く演じられず途絶えていた謡曲「温泉寺」をこのほど、地元の謡曲グループ「城崎松声会」が復活させた。京都の僧が温泉寺を参拝し、寺の本尊・観世音菩薩に巡り合う内容で、同寺や円山川など身近な風景も登場する。同会は「長い時代を超え、謡曲を復活させられて本当にうれしい。故郷を舞台にした謡曲を、大勢の方に知ってほしい」とする。(阿部江利)

 同会は1937年に発足。設立当初から参加する80代のメンバーから小学2年生まで、幅広い世代の22人が所属している。

 謡曲とは、能を演じるための脚本にあたる。同会世話役の坂田文一郎さん(72)によると「温泉寺」は、謡い継がれていない謡曲を集めた、63年発刊の「未刊謡曲集」に言葉だけが記されていたという。同会でもこれまで、他の曲を参考に再現したり、円山川に浮かべた船の上で謡ってみたりしたが、坂田さんは「いまいちうまくいかなかった」と振り返る。

 7年ほど前、坂田さんから手紙で「温泉寺」について伝えられた能楽研究者の故・表章さんが、東京の法政大学などの図書館で、節回しが添えられた資料を発見。表さんを通じてコピーを手に入れた同会が、創立80周年を記念し、本格的な復活を目指すことに。観世流シテ方能楽師の田茂井廣道さんに協力してもらい、古い節回しを現代の表記に作り直し、完成させた。

 同会は11月末、同寺に田茂井さんを招き、稽古会を開催。会員や住民ら約10人が集まり、復活した「温泉寺」を謡った。物語では旅の僧が、円山川を船で渡って温泉寺へとたどり着き、寺の本尊に巡り合うが、会員からは「本尊が登場する時の盛り上がりなど、各場面で情景と節がぴったりと合っていて、とても謡いやすい」などの感想が出た。

 来年には、同寺で33年に1度、3年間の本尊ご開帳が予定されている。その際、同会はプロの能楽師を招いて「温泉寺」を上演、奉納したいという。坂田さんは「途絶えさせたままにしておくのはふびんだった。まずは会で謡いつなぎ、広げていきたい」と話している。

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