新型コロナウイルスで入城者が激減した世界文化遺産・国宝姫路城の料金収入を補おうと、兵庫県姫路市は、ふるさと納税の返礼として櫓(やぐら)と門の瓦に名前を記せる権利を期間限定で追加した。「平成の大修理」の際に同様の特典を付けたときは全国から応募が殺到。その年度、寄付件数で姫路を兵庫県内トップの自治体に押し上げた“伝家の宝刀”だ。ただし、国宝だけに記名できるのは瓦の裏。市の担当者は、思いのこもった陰ながらの支援を期待している。(小川 晶)

 新たな特典は、2020年度に修理工事が予定されている「井郭櫓(いのくるわやぐら)」と「ちの門」の瓦の記名権。ともに大天守の東側にある。

 9月14日までに個人で3万円以上を寄付した人の中から抽選で100人を選び、10月に記名する。名前は瓦の裏に書き込むため、外観からは確認できない。

 市によると、集まったお金は、姫路城の整備事業などに活用する。例年ならこれらの費用に充てるだけの入城料があるそうだが、今年は新型コロナによる休業で3月以降の収入が激減したため、ふるさと納税制度の活用を決めたという。



 同制度で市が姫路城の記名権を返礼に利用するのは、09〜11年度以来だ。

 「平成の大修理」に合わせ、大天守の瓦に名前を記せる特典を付けた。このときも瓦の裏だったが、子どもの誕生記念や結婚、退職など人生の節目に合わせた記名を呼び掛けたところ、城ファンを中心に全国から寄付が相次ぎ、09年度に寄せられた935件は県内自治体のトップだった。

 だが、その後は返礼品に力を入れる自治体に押され、市民が他自治体に寄付した額が上回るように。市によると、18年度のマイナスは国の穴埋め分を含めても約1億7千万円まで膨らんでおり、担当者は「他の自治体にはない姫路城の発信力で、収入減の歯止めにつながれば」と期待する。

 寄付はウェブサイト「ふるさとチョイス」で受け付ける。通常、ふるさと納税の返礼品は地元住民には受け取る権利がないが、今回の記名は経済的な利益がないため、姫路市民も応募できる。市地方創生推進室TEL079・221・2834